米Amazon.comが発表した電子ペーパーベースの電子書籍リーダー「Kindle Paperwhite」。ここで改めてその特長と他社製品との比較を行ってみよう。
米Amazon.comは9月6日(現地時間)、米カリフォルニア州サンタモニカで開催したプレスイベントで、電子書籍リーダー「Kindle」の第5世代製品に当たる「Kindle Paperwhite」を発表した。そのほか、7/8.9インチのタブレット「Kindle Fire HD」も発表されているが、本稿では、電子ペーパーベースのKindle Paperwhiteを中心に、その競合製品との比較をお届けしよう。なお、本稿執筆時点では日本での販売については特に言及がない。
Kindle Paperwhiteは、Kindleの第5世代に当たるモデルで、6インチの電子ペーパーディスプレイを搭載する端末だ。
製品名にもなっている「Paperwhite」と呼ばれる新型ディスプレイが特徴で、従来モデル比で解像度を62%、コントラストを25%向上させながら、バッテリー駆動時間を伸ばしている。新たに開発したというPaperwhiteだが、構造図を見る限り、ベースとなるのは従来のE Inkディスプレイで、図にあるLIGHT GUIDEと呼ばれる層が横からの4つのLEDライトを反射させている。これらの技術の総称がPaperwhiteというところだろう。
ディスプレイの解像度は公式には発表されていないが、画素密度が212ppiで6インチディスプレイであることから、XGA(1024×768ドット)と考えられる。従来モデルはSVGA(800×600ドット)で167ppiだった。
Kindle PaperwhiteはKindleの第5世代モデルに位置づけられるが、ここで同社の製品ラインアップを整理しておこう。世代的には第2世代で9.7インチの「Kindle DX」、第3世代でキーボード付きの「Kindle Keyboard 3G」は継続して販売される(ただし、Kindle DXは在庫が無くなり次第、販売終了になるという)。第4世代の製品については、非タッチパネルの「Kindle」がマイナーバージョンアップして69ドルで継続販売、「Kindle Touch」はKindle Paperwhiteが上位互換のような位置づけとなるため、ラインアップから消えた(Amazon.comのサイトでは製品ページはあるがCurrently unavailableとなっている。一時的なものである可能性もある)。
今回Amazonが発表した電子書籍リーダーの主要なスペックを6インチの電子書籍リーダー端末、というくくりで競合製品と並べると以下のようになる。同社従来モデルのKindle Touch、そして競合製品となる楽天koboの「kobo Touch」、同社が9月6日に発表したフロントライト搭載の「Kobo Glo」、ソニーの「RPS-T2」、Barnes & Nobleの「NOOK Simple Touch with Glowlight」を比較対象として並べている。なお、Kindleの価格は「With Special Offers」、つまり広告がスクリーンセーバーなどの形で入る代わりに安くなるものを記述している。広告なしを希望する場合は20ドル高くなる。
Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite 3G | Kinldle Touch | Kobo Touch | Kobo Glo | RPS-T2 | NOOK Simple Touch with Glowlight | |
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ベンダー | Amazon.com | Kobo | ソニー | Barnes & Noble | |||
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 117×169×9.1ミリ | 117×169×9.1ミリ | 120×172×10.1ミリ | 114×165×10ミリ | 114×157×9.9ミリ | 110×173×9.1ミリ | 126.6×165.4×12ミリ |
重量 | 約213グラム | 約221グラム | 約213グラム | 約185グラム | 約185グラム | 約164グラム | 約197グラム |
解像度 | 768×1024ドット | 768×1024ドット | 600×800ドット | 600×800ドット | 768×1024ドット | 600×800ドット | 600×800ドット |
内蔵ストレージ | 2Gバイト | 2Gバイト | 4Gバイト | 2Gバイト | 2Gバイト | 2Gバイト | 2Gバイト |
メモリカードスロット | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
フロントライトの有無 | ○ | ○ | × | × | ○ | × | ○ |
3Gの有無 | × | ○ | × | × | × | × | × |
発表時期、備考 | 2012年9月 | 2012年9月 | 2011年9月 | 2011年5月 | 2012年9月 | 2012年8月 | 2012年5月 |
価格 | 119ドルから | 179ドルから | 販売終了? | 7980円 | 129.99ドル | 9980円 | 139ドル |
一見して分かるのは、Kindle Touchで4Gバイトだった内蔵メモリが2Gバイトになっている点。本体重量はRPS-T2が頭一つ抜け出ているが、画面解像度はKindle PaperwhiteやKobo GloがXGAに達している。なお、ディスプレイ周りの進化が見られる一方、スピーカーやオーディオ機能は廃止される傾向にある。ソニーの「PRS-T2」でもオーディオジャックの搭載が見送られたが、AmazonもKindle Paperwhiteでスピーカーやオーディオ機能を取り去った。
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