出版業界ニュースフラッシュ 2013年1月第4週

出版業界で起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。先週は出版市場の規模に関する発表や、各種の賞が発表されています。

» 2013年01月30日 16時11分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

2012年出版物販売額、1兆7398億円に

 出版科学研究所は1月25日、2012年の書籍・雑誌の推定販売金額が前年比3.6%減(644億円減)の1兆7398億円で、8年連続の前年割れになったと発表した。「書籍」は同2.3%減の8013億円、「雑誌」は同4.7%減の9385億円。

 書籍は、ミリオンセラーが文春新書『聞く力』の1点にとどまるなど、ヒット作に恵まれなかったことから6年連続の前年割れ。雑誌は15年連続のマイナス成長で、落ち込み幅は昨年の同6.6%減に次いで過去2番目に大きかった。推定販売部数は書籍が同1.7%減の6億8790万冊、雑誌が同5.8%減の18億7339万冊だった。

新潮エンターテインメント大賞、第8回で幕下ろす

 1月23日、同大賞授賞式での取材で分かった。同賞は2005年、新潮社とフジテレビの共催で始まり、これまでに小島達矢、神田茜らがデビューした。審査を1人の作家が行うのが特徴で、これまでに石田衣良氏、宮部みゆき氏らが選考にあたった。

 新潮社の中瀬ゆかり出版部長は「映像と活字のミックスを目標としてきたができなかった。新人賞への応募は増え続けておりクオリティもあがっている。今後、新潮社から新人を発掘する姿勢は変えていかない」とし「後続の新人賞も形態をかえて行う予定」という。

なお、第8回の受賞作は、光本正記氏『紅葉街駅前自殺センター』が選ばれた。

小学館、第58回「小学館漫画賞」を決定

 1月23日、最終審査を行い、各部門の受賞作を決めた。受賞作は次の通り。

児童向け部門=たかはしひでやす氏「怪盗ジョーカー」(小学館)

少年向け部門=荒川弘氏「銀の匙 Silver Spoon」(同)

少女向け部門=芦原妃名子氏「Piece」(同)

一般向け部門=花沢健吾氏「アイアムアヒーロー」(同)

 贈賞式は3月1日午後6時、東京・日比谷の帝国ホテルで。

運用ガイドライン委員会、1月23日に初会合

 「出版物に関する権利」について、出版や作成者など解釈基準の明確化、権利行使の運用指針、出版物の利活用に係る出版契約の環境整備などで、一定の合意形成を図る。

 書協、雑協、出版協など出版関連団体や日本ペンクラブ、日本文藝家協会、日本写真著作権協会など権利者団体、有識者の22人が出席。現在の法制化の動きに合わせ、出版慣行・契約と法案の整合性や影響に関する検討などを通じ、ガイドラインを策定していく。

 出版者・著者などで組織する第1分科会の設置を決め、経済団体などがメンバーの第2分科会も3月中旬をめどに立ち上げる。文字・活字文化推進機構の福原義春会長が委員長に、専修大学の山田健太教授が副委員長。

2012年書籍売上高は1兆528億円(オリコン調べ)

 オリコンはこのほど「2012年年間書籍マーケットレポート」を発表、書籍市場の推計売上高は前年比5.4%減の1兆528億1000万円だった。総売上部数は同4.7%減の12億2580万部。

 出版社別売上額では、集英社が923億3000万円(同6.1%減)で2年連続の首位。以下、講談社が887億3000万円(同4.4%減)、小学館が611億1000万円(同4.7%減)、角川グループパブリッシングが347億2000万円(同8.9%減)、学研グループが281億9000万円(同2.8%減)となった。

 同調査は、Web通販を含む書店1907店の週間売上を基に、推定売上部数を算出したもの。

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