EU、電子書籍の付加価値税について強硬姿勢を取る

欧州では、電子書籍に対する課税方式について大きく揺れている。欧州委員会(EC)は「電子書籍は書籍に該当しない」という方針に沿わない国々への強硬姿勢を打ち出し始めた。

» 2013年02月26日 17時37分 公開
[Mercy Pilkington,Good e-Reader Blog]
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 電子書籍の付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)はここしばらくの間、電子出版領域で悩みの種となっている。ドイツが電子書籍の課税方法をめぐって電子出版社同士の意見が対立する最初の国となった数年前から、自国にビジネスを誘致するため要求されている税率を完全に無視する国々が登場している現在に至るまで、問題は解決の道筋をまったく見いだせていない。

 付加価値税に関する最初のニュースはドイツの出版社からもたらされた。ドイツの法律では本の価格は国内のどこで販売されていても同一でなければならないが、電子書籍の分類があいまいになり、問題が生じた。電子書籍が書籍と分類されると価格法の管轄になるが、ソフトウェアダウンロードと分類されると、法外な高税率で課税されるのだ。同じ作品を紙と電子でそれぞれ10ドルと値付けする場合、前者は7%、後者は最高で19%の税率となる。

 最近、EU内の2国が書籍に対して完全に付加価値税を課税しないことで関連する罰則を受けるリスクをあえて負うことにした。これは称賛に値するが、リスキーでもあるように思われる。もちろん、関連する罰金による損失は大手電子書籍小売企業がすべて欧州オフィスをフランスとルクセンブルクに設置すれば十二分に埋め合わせできる。Amazon、Barnes & Noble、Kobo、Bilbaryは明白な理由から付加価値税率の低い国々で業務を行なっている。

 さて、EUは政府当局者と書店に対して同様に約束を履行すると脅迫しており、そのほかのEUの国々が順守する税率を故意に弱体化させる国々を取り締まると断言している。声明の中で当局者は「不公平な競争の影響が付加価値税の指示を正しく適用するEU各国に及んでいます。複数の財務相と紙、電子を問わない出版業界の代表者がその問題について懸念を表明しており、欧州委員会に国内市場での書籍の売り上げに対するネガティブな影響について指摘しています」と述べた。

 残念ながら、税務当局者はいかに課税を行うかについて検討し、ビジネスマンは1企業が本の販売で不公平な利益にあずかるかどうかについて論争しているが、そうしたゲームメーカーの影響を受けるのは読者にほかならない。

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