電子出版をもっと身近に――利用無料サービスの展示東京国際ブックフェア動画リポート

7月3日から5日まで東京ビッグサイトで開催されている国際電子書籍EXPO。利用料無料のサービスとは。

» 2013年07月04日 16時50分 公開
[渡辺まりか,ITmedia]

 東京ビッグサイトで7月3日から5日まで開催されている国際電子書籍EXPOで、出版側・読者側という異なる立場で、電子出版をより身近に感じられるサービスが出展されていた。

 アクセリアが展示していたのは、eSTANDアプリサービス。これまでeSTANDは産經新聞ビューワアプリとして提供されており、電子新聞の紙面に動画や読み込むごとに異なる広告を配信したり、記事のスクラップなどを行えたが、新たな機能が加わる。それは、記事の検索、共有、マーカー、メモ機能だ。

 あらかじめ検索ワードを登録しておけば、検索ワードごとに設定した異なる色で記事見出しを表示させてくれる。検索対象は、見出しだけではなく、記事本文も含まれる。その場合、見出しの色はどのようになるかと不安になるが、例えば、「自民党」「安倍」の順に検索ワードに設定していた場合、一つ目に設定されているワードを優先順位の高いものとして認識、そのワードに設定した色で表示される。

検索ワードを登録しておけば、そのワードを含む記事見出しを色別に表示してくれる。

 これまで同様、気になる記事は切り抜いて保存することが可能で、切り抜きたい記事を長押しするだけでメニューが現れるので「切り抜き」をタップするだけだ。またそれらの記事を一覧で確認することや、SNSでの共有(これは実装可能な機能としての参考展示だった)、マーカーを引くこと、自分のコメントをメモとして残すこともできる。どの記事や広告が読まれたり切り抜かれたかといったデータは収集され、アクセス解析に用いられるが、アプリ登録時に必要な情報は、生年月日・性別、地域で、個人が特定されることはない。

スクラップした記事にマーカーを引いたりメモを残したりできる。

 電子版産經新聞の購読料は、iPadに最適化され高精細表示される「産經新聞HD」では有料だが、iPhone向けは完全無料で購読できる。こうしたモデルがどのように成り立っているのかについて、同社代表取締役社長・牧野顕道氏は以下のように話す。

 「これらは広告収益で成り立つビジネスモデルになっています。電子新聞独自の広告を集稿し配信しているため、産経新聞の場合は電子新聞の購読料も無料で提供させていただいているものがあるのです」(牧野氏)

 また、出版側として電子出版を身近に感じられるサービスを提供予定なのがファンタジスタだ。

 同社は5年前からmixPaperという、「YouTubeの電子書籍版」サービス(同社代表取締役・栗原弘樹氏談)を展開しており、Web上で気軽に電子出版を可能にしていた。しかし、出版するために、そのサイトにわざわざ会員登録することは利用のハードルを上げてしまうため、多くの人が登録しているFacebookのアプリとしてこのサービスを提供することで、そのハードルを下げた。

 アプリの利用開始までの手順は簡単で、通常のFacebookアプリのようにアプリ連携を開始するだけ。あとは、そのアプリに移動して、作成済みの画像ファイル(対応しているのはJPEG、PNG、PDFなど)ページ分をまとめてアップロードし、手順に沿って進めていくだけで、電子書籍を作成・配信することができる。もちろん、アップロードして作成された電子書籍は、公開・非公開も選べ、無料・有料での配信も可能だ。

電子書籍用画像をアップロードして作成する。
オプションの設定もでき、簡単に作成できる。

 なお、有料配信する場合でも、作成は無料で、購入実績があった場合、著者とファンタジスタの収益の配分は著者が8割、同社が2割になる。購入者の支払い方法はPayPal。多言語展開を予定しており、利用料は無料。作成された電子書籍のファイル形式はFlash。iOSではAjaxを利用して閲覧できる。リリース予定は8月。

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