「ニコニコ静画(電子書籍)」を徹底解剖する電子書店完全ガイド2013(5/5 ページ)

» 2014年02月19日 10時00分 公開
[鷹野 凌,eBook USER]
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購入した本はどうやって保管されるか?

 AndroidアプリやiOSアプリの場合、端末へダウンロードした電子書籍にはDRMが掛かっていますので、バックアップコピーや移動はできません。Webブラウザの場合は、データはサーバ上に保管されています。前述のとおり、小学館コミックの180日間レンタルが廃止されているので、購入した作品には再ダウンロード期限などが設けられていない(無料漫画誌には視聴期限がある)形になりました。つまり、クラウド上の[ブックリスト]から何度でもダウンロードできます(☆+0.5)。

 また、BOOK☆WALKERとの提携により、KADOKAWA系の対象作品はどちらの電子書店で購入しても、本棚連携で読めるようになっています(☆+0.5)。BOOK☆WALKERはBookLive!、ブックパスとも提携していますが一方通行の連携であり、ニコニコ静画(電子書籍)は相互連携している点が大きく異なります。

2014年2月27日追記:初出時、本棚連携の対象を「KADOKAWA系の対象作品(メディアファクトリー作品を除く)」としておりましたが、現在は連携対象となっています。お詫びして訂正いたします。

ニコニコ静画(電子書籍)側は、[マイページ][購入した書籍]の画面の一番下に連携ボタンがある ニコニコ静画(電子書籍)側は、[マイページ][購入した書籍]の画面の一番下に連携ボタンがある
[ログインする]ボタンからBOOK☆WALKERのIDパスワードを入力 [ログインする]ボタンからBOOK☆WALKERのIDパスワードを入力

ニコニコ静画(電子書籍)から連携すると、BOOK☆WALKERの購入履歴から対象作品がブックリストに反映される。逆の場合は、BOOK☆WALKER側からの連携操作が必要だ ニコニコ静画(電子書籍)から連携すると、BOOK☆WALKERの購入履歴から対象作品がブックリストに反映される。逆の場合は、BOOK☆WALKER側からの連携操作が必要
BOOK☆WALKERの購入履歴からブックリストに反映された作品には[購入する]ボタンが残ったままなので注意が必要だ BOOK☆WALKERの購入履歴からブックリストに反映された作品には[購入する]ボタンが残ったままなので注意が必要

 ニコニコ静画(電子書籍)から連携をすると、BOOK☆WALKERの購入履歴から対象作品がブックリストに反映されます。逆の場合は、BOOK☆WALKER側からの連携操作が必要です。なお、BOOK☆WALKERで購入し、連携でニコニコ静画(電子書籍)のブックリストに反映された作品は、ニコニコ静画(電子書籍)で購入できる状態のままになっているので注意が必要です。ここには、二重購入を避ける仕組みを導入しておいてほしいように思います。

評点:☆4.0

総括

 Androidアプリのリリース、モバイルWebサイトのリニューアル、コミック・ラノベ・R-18などのラインアップ増強など、確実に以前よりは進化しています。検索結果一覧のバナー広告排除や、小学館コミックの180日間レンタル廃止など、細かな点でもさまざまな改良がなされています。ただ、他店の進化と比べると、若干進化の歩みが遅い印象を受けます。例えばAndroidにはいまだコメントシステムが提供されていないとか、iOSでもタップ&ホールド時しかコメントが表示されないとか、タグの編集やマイリスト登録はPC Webからしか行えないといったもろもろの制限が、”ニコニコらしさ” をいまいち発揮しきれていない要因になっているように感じます。筆者のブックリストには約200作品ありますが、そのうち約150作品には誰からもコメントが付いていない状態だというのは、やはり少し寂しく映ります。

 その一方で、ここ最近、複数の電子書店がサービス終了のお知らせを出しており、ビジネスの存続性に関する不安の声を多く見かけるようになりました。ニコニコ静画(電子書籍)とBOOK☆WALKERの本棚連携は、運営会社ニワンゴの親会社であるドワンゴにKADOKAWAの資本が入っている(本稿執筆時点で12.23%)とはいえ、相互連携まで踏み込んでいる点は高く評価できます。願わくばこの連携の輪がKADOKAWAグループ以外にも拡大し、どの電子書店であっても電子書籍を安心して購入できる環境が提供されるようになる日を望みます。

赤が前回の評点、青が今回の評点 赤が前回の評点、青が今回の評点

著者プロフィール:鷹野 凌

鷹野 凌

 フリーライター。「日本独立作家同盟」呼びかけ人。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチ電子ナビ、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。ブログ「見て歩く者」で、電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆。自己出版で『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を1〜3巻まで配信中。

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