出版業界ニュースフラッシュ 2014年9月第4週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。9月第4週は、校正・校閲の専門会社が書店経営への参入を発表したことなどが話題になりました。

» 2014年09月29日 10時55分 公開
[新文化通信社]
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岩波新書、3000点を突破

 岩波書店が1938年に創刊した岩波新書の刊行点数が、9月19日発売の新刊で3000点を突破した。これを機に、9月刊行分から版面の横幅を2ミリ広げ、文字を拡大、フォントも大きくするなど読みやすさを向上させた。

 11月には、計30冊を展開するフェア「きっと出合える あなたの一冊」を全国の協力書店で開催。小冊子には尾木直樹氏、角幡唯介氏、池内了氏などによる「私の一冊」も寄稿されている。

 岩波新書の歴代売上げ1位は、223万部を発行する永六輔『大往生』(1994年)。2位は『日本語練習帳』(185万部、1999年)、『論文の書き方』(143万部、1959年)。

校正・校閲の専門会社、鴎来堂が書店経営に参入

 鴎来堂は11月上旬、東京・神楽坂の同社近くに複合書店「かもめブックス」を開店し、書店経営に参入する。カフェ、ギャラリーを併設する。売場面積は41坪。場所は、今年4月に閉店した文鳥堂書店の跡地。住所は東京・新宿区矢来町123第一矢来ビル1階。正社員、スタッフ募集も行っている。

 胗下恭平社長は「出版の中で校正・校閲の会社ができることがもっとあるのではないかと考え、本屋の運営に挑戦します。神楽坂に長く愛される本屋にしたい」と話している。

※鴎来堂の「鴎」は正式には旧字で表記。

日本経済新聞出版社、著作権侵害のおそれで参考書を自主回収

 9月12日発売の『うかる!中小企業診断士 テキスト&問題集2015年版』の第1巻から第3巻のうち、第3巻の一部にTAC出版『中小企業診断士 2014年度版スピードテキスト5 経営法務』ほか1冊、さらに複数のウェブサイト上の著作権を侵害するおそれがある箇所が見つかったため、シリーズ3巻すべての回収・絶版を決めた。第3巻の発行部数は2500部で、うち1760部を出荷していた。

 社内調査で見つかった問題箇所は、著者の1人・高橋弘旭氏が執筆した第1章の29〜171ページで、数十カ所。予定していた第4〜7巻の刊行も取りやめる。なお、第1〜2巻には権利侵害に該当する箇所はなかったという。

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