独特の動物目線が面白い! おすすめの犬&猫マンガ4選

» 2015年06月17日 06時00分 公開
[ぶくまる]
ぶくまる
独特の動物目線が面白い! おすすめの犬&猫マンガ4選

 ペットを飼っている人も、そうでない人も、可愛らしさにメロメロになってしまうこと必至の犬マンガ&猫マンガをご紹介します。

 どの作品にも、動物たちが人間のように喋っているセリフやモノローグがたくさん出てきますが、あくまで飼い主たちには通じていません。伝えたいことが斜め上にズレていたり、たまにピッタリ通じ合ったりするのが、おかしくて愛おしい……そんな4作品です。

『いとしのムーコ』元気いっぱいのムーコとこまつさんのラブリーライフ!

いとしのムーコ 1巻

『いとしのムーコ』 みずしな孝之 / 講談社

  • 動物データ:ムーコ(犬・メス)

 ガラス工房の庭をいつも元気に駆け回る犬のムーコと、吹きガラス職人をしている飼い主のこまつさんの日常を描く物語。ムーコの自慢はつやつやのお鼻。大好きなことは、こまつさんのまねっこをすること。そんなある日、ムーコが知った衝撃の事実。こまつさんは……犬じゃなかった!

 それでも、ムーコはやっぱりこまつさんがだーいすき! こまつさんが犬になる日を夢見ています。

 タオルをガジガジと噛んだり、しっぽを追いかけてぐるぐる回ったり、池にドボンと飛び込んだり、ムーコはとにかく元気でやんちゃ! 犬好きの心をガッチリつかむ、「あるある」なエピソードも満載ですが、この作品の一番の魅力は、ムーコのこまつさん大好きっぷりと、自己アピール!

  1. 自分が発明した遊びに、ぜんぶ「こまつ」という名前をつける
  2. 太ったと言われ、動揺してごまかそうとする
  3. 女性客とこまつさんが話しているのを見て「おなかぐるぐる」になっちゃう
  4. こまつさんが作るガラス製品や打ち上げ花火と自分を比べて、自分のお鼻の方がつやっつやだとドヤ顔する

 数々のエピソードには、複雑な乙女心も垣間見えます。ここまで愛されるのは、飼い主冥利(みょうり)に尽きますね。

 本作はかつて、2013年にフジテレビの情報番組「ノンストップ!」内で、「ラブリームービー いとしのムーコ」として映像化されたことがありますが、2015年秋に、本格的にテレビアニメ化されることが決まっています。画面を駆け回るムーコの、おはなつやつやっぷりも楽しみですね!

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『江の島ワイキキ食堂』 言葉を話せるふしぎな猫と過ごす日々

江の島ワイキキ食堂 1巻

『江の島ワイキキ食堂』 岡井ハルコ / 少年画報社

  • 動物データ:オードリー(猫・メス)

 江の島にある食堂の看板猫・オードリーは、人間には秘密にしているけれど、実は人の言葉でおしゃべりができちゃう不思議な猫。食堂を営む飼い主の青年・頼(より)は、料理の腕には自信があるものの、食堂はいつも閑古鳥。恋愛関係には鈍感で、すぐそばにいる幼なじみ・ヒカリの気持ちにも気づきません。そんな頼をはじめ、困っている人や動物を見ると放っておけないオードリーは、今日もお悩み解決に奔走中です。

 賢いオードリーからすると、人間は、面倒でややこしくて素直じゃなくて、あんまり賢くもないみたいに見えるようです。恋愛をはじめとした人間関係で、自ら複雑な方向に向かって悩んでしまう人間が、猫目線で見ると不可解なのかもしれません。

 人間の言葉を発することができるため、バレないように人間の気持ちをつい代弁してしまう、少々おせっかいなところもありますが、それはオードリーの愛情深さによるもの。その結果、ヒカリと嫁しゅうとめのような関係になっちゃったりもするのですが……。また、しっかり者のようで、うっかり人間語の独り言を聞かれてしまったり、意外とおっちょこちょいなところもあるオードリー。そんなところが可愛く魅力的で、飼い主の頼が羨ましくなってしまいます。

 実はオードリーは年齢不詳で、何十年も生きている疑惑があるのですが、その秘密がいずれどのように明かされるのかが楽しみです。ちょっと不思議な世界で、ほっこりできる作品ですよ。

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『まっすぐにいこう。』 犬と人間の三角関係?

まっすぐにいこう。 1

『まっすぐにいこう。』 きら / 集英社

  • 動物データ:マメタロウ(犬・オス)

 主人公はオス犬のマメタロウ。飼い主の女子高校生・郁ちゃんこと若月郁子は、2週間前にできた彼氏・秋吉くんと仲良し。2人とも照れ屋であいさつもできずにいたのですが、マメタロウがキューピッドになって2人をくっつけたのです。マメは郁ちゃんのことが大好きだから、秋吉くんをライバル視して、ちょっとヤキモチをやいちゃうことも。だけど実は、マメタロウにもはなこちゃんという紀州犬のかわいい彼女がいて……。犬も人間も恋をする、とってもやさしい青春ラブストーリーです。

 作品内で、自分が雑種であることを気にしているマメタロウの描写が、ちらほら出てきます。彼女のはなこちゃんは白く美しい紀州犬なので、負い目を感じて落ち込んでしまうことも。しかし、マメタロウは機転がきく、とても賢い犬です。一説には、雑種はそれぞれの犬種のいいとこ取りをして、純粋種よりも優れることや、高い知能を持つこともあるのだとか。言葉も交わせない郁子と秋吉くんの想いに気がついたのも、マメタロウが雑種だからこそなのかもしれません。

 基本はほのぼのな話ですが、郁がいじめられる問題なども描かれていて、時にシリアスな展開に。煩わしい人間関係は、犬目線で見ると不思議でしょうがないでしょうが、人の心がよく分かるマメタロウは、恥ずかしがり屋で繊細な郁ちゃんが、笑っている時も泣いている時もぴったり寄り添う、素敵なパートナーなのです。

 あとがきマンガによると、マメのモデルは作者の飼い犬「チャロ」(雑種)だそうです。だから、登場する犬たちの仕草や行動も、どこかリアルが詰まっています。10年以上前の作品ですが、今読んでもマメタロウたちの可愛さにほっこりしてしまう名作です。

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『WILD CATS』愛しのペット、実はライオン!

WILD CATS 完全版

『WILD CATS』 清水玲子 / 白泉社

  • 動物データ:シーザー(ライオン・メス)

 最後にご紹介する作品のペットは、何とライオン!(一応ネコ科)

 主人公の筧龍一は、幼いころ道端に捨てられていた大きな子猫を拾い、シーザーと名づけて飼うことに。ライオンみたいに強いボス猫を飼いたかった龍一でしたが、本当にライオンだったことが判明! けれど、あくまで猫として育てられたシーザーは、体は立派で大きいのにネズミ一匹捕れず、犬や猫にもバカにされる、臆病なライオンになってしまいました。そんなシーザーですが、臆病な性格には彼女なりの信念があって……。

 清水玲子先生の流麗な線で描かれるシーザーは、目を瞠るほど美しくスタイリッシュ。将来は「龍一のお嫁さんに!」と夢見るほどに龍一のことが大好きで、とっても思いやりがあるシーザーは、まさに理想のペットです。「こんなライオンなら一緒に暮らしたい!」と思う読者も多いかもしれません。また、臆病さの理由を知ると、なるほどと思うと同時に、シーザーをより愛おしく思えます。

 実際にライオンを飼うことは難しいですが、「飼い主の理想」と「動物としての野生」の関係性は、他の動物を飼っている人でも共感するところがあるはずです。

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まとめ

 いかがでしたか? 種族が違うがゆえに、お互いの気持ちがうまく伝わらないこともありますが、すべての作品に共通するのが、動物たちが人間をとっても愛してくれているということ。一生懸命な彼らの姿に、笑いながらもジーンとしてしまいます。また、時に人間よりも鋭い動物の視点が、常識で凝り固まった私たちに、ハッと気づきを与えてくれることもあります。

 今回ご紹介した作品のように「動物目線」で人間世界を覗くと、当たり前のように過ごしている世の中も、ちょっとおかしなものに映るかもしれませんね。

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