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» 2015年07月01日 06時00分 公開

電子書店完全ガイド:「紀伊國屋書店ウェブストア/Kinoppy」を徹底解剖する (4/4)

[鷹野 凌,eBook USER]
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読みやすさ

 最後に、読みやすさの検証です。

対応デバイス

 紀伊國屋書店ウェブストアで販売している電子書籍は、Windows(デスクトップ版はVista以上、Windowsストア版は8.1またはRT 8.1)、Mac OS X 10.9以降、Android(スマートフォンは2.3.3以降、タブレットは4.0以降)、iPhone・iPod touch・iPad(iOS 6.0以降・7.1以上推奨)、Sony Reader端末(一部コンテンツは非対応)で読むことができます。ただし、ブラウザビューワはまだ未提供です。

「電子書籍に端末選択の自由を。」 「電子書籍に端末選択の自由を。」

 紀伊國屋書店Kinoppyは「電子書籍に端末選択の自由を。」というキャッチコピーを掲げており、前回のレビューでは「最強クラスのマルチデバイス対応」と評価しました。ところがここ1年で、他の電子書店もマルチデバイス対応を急速に進めています。中でも、ブラウザビューワを導入するところが増えており、またLinuxでの閲覧も公式にサポート(ブラウザビューワ)するところも出現していることを考慮すると、優位性はやや薄れ始めています。


台数制限

 1つのアカウントに登録できる端末の台数は、最大5台。6台目の端末でログインしようとすると、他の端末を任意に登録解除できる(Sony Reader端末を除く)ので、実用で困ることははめったにないでしょう。また、会員メニューの「電子書籍端末の登録・確認」からでも登録解除可能です。


6台目でログインしようとすると、他の登録済み端末の解除を促される 6台目でログインしようとすると、他の登録済み端末の解除を促される
会員メニューの「電子書籍端末の登録・確認」でも登録解除可能 会員メニューの「電子書籍端末の登録・確認」でも登録解除可能

ビューワ機能

 購入した書籍は、一度端末にダウンロードしてしまえば、通信環境がない場所でも読むことができます。本棚の並び順、最後に読んだ位置、マーク・しおり・コメントなどは自動的にクラウド上に保存され、他の端末とも同期されます。デスクトップで読んでいた続きを、外出先からスマートフォンで読むといったことも簡単にできます。

 読書機能としては、しおり、複数色のマーカー・ライン、コメント、選択範囲のコピー、本文検索、Web検索(Google、Wikipedia、Yahoo!辞書)、文字サイズやフォントの変更、行間変更、余白変更、縦書き/横書き切り替え、ページ切り替え効果の有無、陰影の有無、柱とページ番号の表示有無などの設定が切り替えられます。これら基本的な読書機能の充実度は、トップクラスです(☆+0.5)。ただ、SNSなどへシェアする機能がない点は少し残念です。

  • Kinoppy for Windowsデスクトップ

 モバイル向けアプリとの大きな違いは、複数の本を同時に開くことができる点です。並べて比較したい場合などに便利でしょう。スクリーンキャプチャが撮れないためビューワの画面イメージは省略しますが、フォントや行間の変更ができないなど、AndroidやiOSアプリより若干機能が劣ります。


Kinoppy for Windowsデスクトップの本棚 Kinoppy for Windowsデスクトップの本棚
本棚機能はモバイルとほぼ同じ 本棚機能はモバイルとほぼ同じ

  • Kinoppy for Windowsストア

 こちらもフォントや行間の変更ができないなど、AndroidやiOSアプリと比べ若干機能が劣ります。


Windowsストアアプリの本文表示 Windowsストアアプリの本文表示
上か下の画面外から内側にスワイプでメニュー表示 上か下の画面外から内側にスワイプでメニュー表示
マーカー・ライン・メモにも対応 マーカー・ライン・メモにも対応

『はたらく魔王さま!〈11〉』和ケ原聡司/KADOKAWA
  • Kinoppy for Mac

 唯一、メジャーアップデートを果たしていないMac OS X版アプリですが、ビューワの機能としてはテキスト設定に行間・余白・フォントの設定がない程度で、他のOSと比べそれほど劣っているわけではありません。Windowsデスクトップ版同様、複数の本を同時に開くことも可能です。


単ページ・縦スクロール表示などに対応している 単ページ・縦スクロール表示などに対応している
コピー・マーカー・マーク・検索などの機能はちゃんと備わっている コピー・マーカー・マーク・検索などの機能はちゃんと備わっている

  • Kinoppy for Android

 Android向けアプリは、フォントの変更、文字色と背景色の変更、全ページサムネイル表示、ページめくりにスクロールモード、一定速度以上のフリック入力による慣性ページ送り、スクロールモードなら横長の画像でも上下幅一杯に表示されるなど、WindowsやMac OS X向けアプリより高機能です。


スクロールモードはページの概念がなくなり、高速で読み進められるので筆者は気に入っている スクロールモードはページの概念がなくなり、高速で読み進められるので筆者は気に入っている
全ページサムネイル表示は、ちょっとページを戻ったり、挿絵を探すのに最適 全ページサムネイル表示は、ちょっとページを戻ったり、挿絵を探すのに最適
フォントも変更できる フォントも変更できる

  • Kinoppy for iOS

 機能的にはAndroid版とほぼ同じですが、フォントの種類が若干豊富です。


文字色と背景色の変更も可能 文字と背景色の変更も可能
全ページサムネイル表示は、コミックでも威力を発揮する 全ページサムネイル表示は、コミックでも威力を発揮する
コミックのページめくりは、縦横のスクロールモードにも対応している コミックのページめくりは、縦横のスクロールモードにも対応している

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN〈1〉』安彦良和/KADOKAWA

評点:☆3.5

総括

 過去のレビューで繰り返し「ウェブストアが使いづらい」と、具体的な事例を挙げて指摘してきましたが、今回改めてチェックしてあまり進化が見られず非常にがっかりしました。購入に至る前の段階で、ユーザーを逃してしまっているように思います。

 本棚やビューワなど、購入後に利用するサービス部分はメジャーアップデートで以前より使い勝手が向上しているだけに、もったいないです。出版流通のイノベーションも重要ですが、いま目の前で利用している顧客の満足度向上の方がもっと重要ではないでしょうか。

「eBookJapan」の点数

著者プロフィール:鷹野 凌

鷹野 凌

フリーライター。NPO法人日本独立作家同盟理事長で、『月刊群雛』と『群雛ポータル』の編集長。ITmedia eBook USER、INTERNET Watch、ダ・ヴィンチニュース、マガジン航、DOTPLACEなどに寄稿。ブログ『見て歩く者』で、主に電子出版、ソーシャルメディア、著作権関連の記事を執筆。著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』は弁護士福井健策氏の監修。

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