電子書籍に対する親子の認識にズレ――アスキー総研調査
現代の子どもは電子書籍をどのようにとらえているのか、また、親との認識のズレはあるのか――アスキー総合研究所とつばさ図書委員会が発表した「子ども電子書籍調査」の調査結果で、それが明らかになった。
親の想像を超える子どもの電子書籍利用率
まだ電子書籍が今ほど普及していなかった時代を過ごした親と、その子どもの間で電子書籍に対する考えはどの程度異なるのか――アスキー総合研究所とつばさ図書委員会が10月22日に発表した「子ども電子書籍調査」の調査結果で、それが明らかになった。
同調査は、9月に東京学芸大学で開催された「2010 青少年のための科学の祭典 東京大会」で、つばさ図書委員会の展示に来場した親子を対象としたもの。有効回答数は子ども265人、大人(親)126人。
調査結果によると、子どもが電子書籍を利用している/したことがあると答えた親は全体の1.2%。これに対し、利用したことがあると答えた子どもは全体の12.8%と親の想像を大きく上回っている。友人宅や学校などで、パソコン、携帯電話、ニンテンドーDSなどの端末に触れていることが、この乖離(かいり)につながったとみられる。なお、親の、現在・過去を合わせた電子書籍の利用率は8.7%で、子どもの方が電子書籍を積極的に利用していることが分かった。
実際に電子書籍アプリをインストールしたiPadを子どもに触れてもらったところ、95.8%の子どもが面白かった(面白かった、まあ面白かったの合計)と回答。見やすさ、操作性ともに高い評価を得た。ただし、持ちやすさについてはやや評価が下がっており、特に低学年の児童では「重い」「持ちにくい」といった不満も少なくなかった。
ほとんどのジャンルで紙媒体よりは電子書籍で読みたいという意見が多いのも同調査結果の特徴。この傾向は学習マンガではない一般のマンガで特に顕著で、その比率は紙媒体と比べ1.6倍となった。また、学年が上がるにつれてマンガを電子書籍で読みたいという比率も上昇している。
一方、紙媒体の方が好まれるジャンルは「絵本」「新聞」で、主に小学3年生以下で、紙媒体で読みたいという比率が高く、インタラクティブ性の向上などを狙って絵本を電子書籍として提供しようとするパブリッシャーの意向とは温度差があることが分かる。
また、子どもの電子書籍の利用について肯定的な比率は38.1%にとどまっており、23.8%の親は利用について否定的な考えを持っていることも明らかになった。その理由として、約6割の親が電子書籍の利用は「目に悪い、疲れる」と回答しているほか、ネット上の有害情報や、親のコントロールの範囲外のコンテンツに触れる可能性を懸念している。
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