ミドル世代の視点でみたGALAPAGOSホームモデル:大人のためのGALAPAGOS講座(3/3 ページ)
電子書籍には興味を持っていた。これまでの読書体験を超える何かがあるなら、それを試してみたいからだ。果たしてGALAPAGOSホームモデルはそんな期待に応えてくれる製品となっているのだろうか? 元編集者として紙出版を熟知し、現在はフリーの編集・ライターとして活躍する池田氏がGALAPAGOSホームモデルに触れてみた。
電源投入からシステム設定までを急ぎ足で
GALAPAGOSの端末OSにはLinux(Androidのカスタム版)が採用されている。電源キーを押すと、SHARP、GALAPAGOSのロゴが表示され、続いてシステム起動を示すプログレスバーが表示される。初期の本棚画面が表示されるまでには約40秒を要した。
初期登録手続きについて
電源を入れてからの初期登録手続きについての詳細は「手元に届いた『GALAPAGOS』を開封した」を参照していただきたい。今回は、メーカー側で端末登録が完了したデモンストレーション機を試用してのレビューとなったが、デモ機の付属microSDカードにはストアからダウンロードした書籍・雑誌が入っていた。できるだけ初期状態に近づけるため未使用のmicroSDカードを挿入している。
最上部には音量設定、無線LANの電波強度、バッテリー残量を示すアイコン、日付・曜日・日時が表示される。その下に「未読・おすすめ」「最近読んだ本」「お気に入り」「定期購読」の4つのタブがあり、最下段には「ブックシェルフ」「ストア」「ツール」「アプリケーション」のタブが並ぶ。
GALAPAGOSを購入したユーザーが最初にすることといえば、下部タブの「ツール」から行う「各種設定」だろう。本製品のオンラインマニュアルもここに収録されている。なお、このオンラインマニュアルは、シャープが開発した電子書籍フォーマット「XMDF」を用いて製作されている。XMDFで作られたコンテンツの独特のタッチ操作に慣れるのにはうってつけのコンテンツだ。
各種設定では、本体共通メニューの下にアカウント情報、通信、サウンド・表示、一般、セキリティ、システム管理の項目があり、書籍ビューアのメニューには書籍表示、書籍動作の設定項目がある。これはモバイルモデルと共通だ。文字が大きく視認性が高くてよいのだが、操作性は著しく悪い。せっかくの大画面表示で空きスペースも大きいのだから、1画面で済ませられるような処理にすべきだろう。
なお、ホームモデルの内部にはX・Y軸の加速度センサーが内蔵されており、自動回転を有効にしておけば、縦位置にしたときには縦表示、横位置にしたときには横表示に自動的に切り替わるが、最初の書棚画面やツール画面のメニューなどは常に縦位置で表示される。
筆者はいわゆる電子書籍リーダー端末に触れたのはこれが初めてだ。しかし、これまで数多くのハードウェアをレビューしてきた経験から言えば、GALAPAGOSホームモデルのハードウェアは、IT機器としてみるならギリギリの及第点といったところだ。コネクタやキー(ボタン)にしても、万人が心地よく使えるユニバーサルデザインの視点が欠けている。とはいうものの、これからの電子書籍市場を牽引する役目が課せられた一台である。その進化する姿を目の当たりにできるのなら、面白い製品なのかもしれない。次回は、筆者のようなミドル層が電子書籍端末に求める機能などを考えながら、このホームモデルをより掘り下げてみたい。
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