米国司法省にも取り上げられているAppleの法廷闘争で、訴訟手続き初の重要動議への裁定が下され、最終的に却下された。Appleはシアトルの法律事務所、HagensBermanが起こした集団訴訟の棄却を求めたが、デニス・コート裁判官はこれを却下した。
Appleには大手6大出版社のうち、5社と共謀して電子書籍価格を吊り上げた疑いがかけられているが、Appleの動議は実質的に原告が不正行為の証拠を保持していないとの理由で申請された。訴訟はその不正行為によりAmazonの影響力行使を余儀なくさせ、オンライン小売の同社に電子書籍価格を値上げさせる意図で行われたと主張している。
この決定は消費者を代理して申請されている民事訴訟に限定して適用される。司法省は独自捜査と訴訟手続きに入っており、州政府の一部も同様だ。訴訟で名指しされた出版社のうち、3社はそれらの州政府との取り引きに調印した。
コート裁判官の決定によると、Appleの動議はシャーマン法に基づき却下された。この法律は特にAppleと出版社が共謀して電子書籍の価格操作を行ったとされる談合に関するものだ。談合に関与した関係者がほとんど書類を残さなかったため、行動と結果に基づく推論が許されている。
「本訴訟の捜査段階で追加証拠が明らかになることに期待しています」とバーマン氏は動議に関するプレスリリースの中で語った。「Appleと出版社の談合によって消費者が損害を受けたと確信しているから起訴に踏み切ったのであり、消費者が被った損害を補償する効果的計画が策定されなければ和解に応じるつもりはありません」。
集団訴訟の目的は消費者がAppleと出版社の価格カルテルにより過払いが想定されている推計2億5千万ドルの一部を取り戻すことだ。
「出版社にとって幸いなことに、AppleもAmazonの価格とKindleデバイスの人気を恐れています」とバーマン氏は語った。「強み、価格、利便性で競争するのではなく、被告が単純にシステムを支配しようとしていることを証明するつもりです」。
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