オランダのベンチャーTom Kabinetが、“中古”電子書籍の流通で新たな動きを見せている。
同社は2014年、コンピュータソフトの中古販売を認めたEU最高裁の判例が電子書籍ファイルにも適用されるかどうかを出版社団体(NUV)とアムステルダム地方裁判所で争ってきた。この判決で、海賊版対策の不備も指摘されたものの、電子書籍の取引にも過去判例が拡張されるべきとの見解が示されたことで、Tom Kabinetは法律に準拠した形にサービスを整えていた。
同社が新たに導入した仕組みは、0.99ユーロ/週または3.99ユーロ/月の有料会員制サービスをベースにしたもの。
サービスの会員は、他の電子書店(Bol.com、Boeken.com、Koboなど)で購入した電子書籍を同サービスに“寄付”(所有権を移転)。Tom Kabinetはそれを会員に一律1.75ユーロで提供する。電子書籍を寄付した会員には会員期限の延長措置が採られる仕組み(1冊0.99ユーロで見積もられている)。なお、同サービス内で販売された作品の著者には一冊当り0.5ユーロがロイヤリティーとして支払われるという。
購入して読み終えた電子書籍を寄付して、ほかの電子書籍を安く手に入れることができるこの仕組み。古本の流通でよく問題視される権利者へのロイヤリティー支払いなども考慮したサービス設計となっている。“中古”電子書籍を語る上でTom Kabinetの動きは今後も注目を集めそうだ。
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