「MontaVista Linux 2.1」でテレコム分野にも市場を拡大するモンタビスタ

【国内記事】2002.01.29

 モンタビスタソフトウエアジャパンは1月29日,Linux組み込みOSの最新バージョン「MontaVista Linux 2.1」を3月初旬にリリースする予定であることを明らかにした。同製品は,米国時間の1月30日にニューヨークで開催中の「LinuxWorld Conference & Expo」で発表されるもの。時差の関係で,日本で先行して発表されることとなった。

「MontaVista Linux 2.1」を発表する有馬社長

 MontaVista Linux 2.1は,これまで「Hard Hat Linux」として同社が提供していたLinux組み込みOSの最新バージョン。モンタビスタという社名をより一層,組み込み市場に浸透することを目的に,製品名を変更したという。これにより同社は,これまでのコンシューマ向け市場や情報家電市場だけでなく,テレコム分野にも市場を拡大したいとしている。

 MontaVista Linux 2.1は,最新のLinux kernel 2.4.17をベースに,モンタビスタ独自のリアルタイム拡張機能を搭載することで,x86,MIPS,SH,PowerPC上でプリエンプティブ機能をサポートする。そのほかにもARMおよびStrongARMをサポート。6つのCPUをベースに,22種類以上のプロセッサに対応,18種類の新しいボードに加え60種類以上のボードをサポートするという。

 また,アプリケーション開発のための統合環境として,KDEのKDevelopを採用したほか,x86およびPowerPC上のカーネルパフォーマンスが測定可能なLinuxトレースツールなども提供。ジャーナルファイルシステムとしては,ReiserFS,JFFSに加え,Ext3が追加されている。

 さらにアドオン機能として,ホットスワップやフェールオーバーなど可用性を向上させる「MontaVista High Availability Framework」やJava開発環境である「VisualAge Micro Edition for MontaVista Linux」,GUI開発環境である「Qt/Embedded for MontaVista Linux」,オープンソースのグラフィックツール「MontaVista Graphics」などが提供される。

 価格は,1年間の保守契約が含まれる3開発者ライセンスが約300万円となる。

 同社の代表取締役社長,有馬仁志氏は,「新バージョンのリリースにより,これまでの情報家電市場だけでなく,テレコム市場にもビジネスを拡大するために,パートナーとの協力をより密にしていきたい」と言う。

 現在,同社の顧客(プロジェクト)数は102件。3月ごろには,大手家電メーカーとの提携も発表予定という。また現在,ミドルウェアベンダー,半導体ベンダー,SIベンダーなどで構成される65社のパートナーを100社まで拡大するほか,チャネル販売の拡大を実現したいとしている。さらに近日中には,大阪に営業所を開設し,営業およびエンジニアの人員強化を行う予定という。

「こうした取り組みにより,組み込みLinux市場をリードしていきたい」(有馬氏)

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[山下竜大 ,ITmedia]