Interview:組み込みLinux市場で「世界征服」を目指すモンタビスタ(2)
【国内記事】 | 2002.2.22 |
日本市場の注目はワイヤレス分野
ZDNet 組み込み市場は,国によっても状況が違うと思いますが,日本市場をどのように見ていますか。
ウェインバーグ もちろん言語や市場の方向性そのものも違いもますが,日本のメーカーは独自にプロセッサを開発し,それを利用した製品を提供しているということが挙げられます。例えば,日立製作所や松下電器,三菱電機などのメーカーは,独自に開発したプロセッサを利用した情報デバイスを数多く製品化しています。これは,欧米では珍しいことです。
欧米の情報デバイスメーカーは,モトローラやAMRなどが開発したプロセッサを利用してデバイスを開発します。独自にプロセッサを開発することはあまりありません。
ジャクソン バーチカル市場によっても違いはあると思います。例えば,セットトップボックス(STB)の市場は,欧米では既に数多くの製品が利用されていますが,日本ではまだ新しい市場だと思います。欧米では,数多くのSTBの規格がありますので,既に標準化に向けた歩み寄りが始まっていますが,日本ではこれから標準化が進む段階です。
また,欧米では,およそ50種類の組み込みベンダーが存在していますが,日本市場には広く浸透しているITRONをはじめ3〜4つ程度です。ただし,組み込み市場は,日本も欧米も保守的だという面では同じでしょう。
ZDNet 日本の組み込み市場では,どのような分野に期待していますか。
ジャクソン コンシューマ分野です。携帯電話やハンドヘルドデバイス,情報家電など,期待される分野は数多くあります。特に,ワイヤレスデバイスは,日本のお家芸でもあるので注目しています。これまでのデバイスは,スタンドアロンで利用されることが多かったのですが,これからはネットワークにつながることが当たり前になるでしょう。ワイヤレス分野は重要になります。
ZDNet 先日,インテルがXscale技術を搭載したプロセッサを発表し,モンタビスタも対応を発表しました。このプロセッサは,モンタビスタにとってサポートするさまざまなプロセッサの1つなのか,それとももっと違った意味を持つプロセッサになるのでしょうか。
ジャクソン インテルのXScale技術は,非常に少ない消費電力で,高い性能と堅牢性,汎用性をワイヤレスデバイスに搭載できる優れたプロセッサです。フル機能のハンドヘルドコミュニケーションデバイスや先進のPDAなど,次世代のワイヤレス接続機器用に設計されたプロセッサで,インテルが目指す方向性とわれわれの戦略が一致するという意味では非常に注目していますし,期待もしています。
ただ,われわれの戦略では,インテルだけに肩入れするのではなく,IBMのPowerPCでも,MIPSでも,組み込みデバイスに利用されるプロセッサすべてを今後も強力にサポートしていきます。
ZDNet モンタビスタは,最終的に何を目指しているのでしょう。
ウェインバーグ ジム流に言えば,(組み込み市場での)「世界征服」です(笑)。
つまり,組み込みLinux分野のリーダーになることですが,これはそう遠い未来ではないでしょう。いろいろなリサーチ会社の報告でも,われわれは高い技術とサポート能力を有しているという評価を得ています。それに向けて,今後も顧客が本当に必要とする組み込みLinuxソリューションを提供していきたいと考えています。
関連記事
「MontaVista Linux 2.1」でテレコム分野にも市場を拡大するモンタビスタ
モンタビスタ,組み込みLinuxをインテルのXscaleチップに対応
関連リンク
[山下竜大 ,ITmedia]