デルとオラクルがエンタープライズLinuxの切り込み隊長に

【国内記事】2002.3.01

 3月1日,都内のホテルで行われた「Oracle Linux Summit 2002 Spring」カンファレンスの基調講演にデルコンピュータの吹野博志会長が登場した。

 昨年米国市場でPCサーバベンダー首位の座に着いたデル。RISC UNIXサーバをIAのLinuxクラスタでリプレースしていくのが同社の戦略だ。カンファレンス前日の2月28日,デルと日本オラクルは,エンタープライズ向けのLinuxクラスタシステムで協業することを明らかにしていた。

 デルは,PC業界全体が昨年第2四半期から第4四半期まで3四半期連続で前年割れする中,11〜15%の成長を維持した。

「われわれはIT不況でも唯一プラス成長のベンダー。特に日本では40%の伸びだ」と吹野氏。PCサーバでも後発ながら米国で首位に立ち,日本でも2位に着けたと同社では主張している。

 デルのマーケティングモデルは,コモディティ化を大胆に進め,価格を引き下げてボリュームを狙うものだ。吹野氏は,「Linuxも初めからコモディティ化の精神に支えられて開発されてきた。われわれの戦略とよくマッチする」と話す。

 実際,日本においてもデルのPCサーバは,その10%以上がLinuxをプリインストールされて出荷されている。さらに「OSなし」で出荷される台数を考慮に入れると,同社が出荷するPCサーバのうちLinuxで稼動している比率は実に20%以上になると推定できるという。

 デルでは,2000年春からPowerEdgeサーバにRed Hat Linuxのプリインストールを開始し,昨年末にはMIRACLE LINUXの動作確認も行い,販売も始めた。

 ちなみにMIRACLE LINUX v2.0は,Red Hat Linux 7.1を採用し,さらに設定変更やパッチなしでOracle9i for Linuxが稼動するよう手を加えたもの。Red Hat Linuxの「エンタープライズ向けブランド」と考えてもいい。

 先ごろ,ガートナーデータクエストがまとめた2001年の世界のサーバ市場調査でも,デルのLinux搭載IAサーバの快進撃ぶりが明らかになっている。全体のサーバの伸びはわずか2.3%にとどまったが,同社のLinux搭載IAサーバは200%以上の増加を記録している。

 吹野氏は「Red Hat LinuxとOracle9i Real Application Clusters,そしてデルのPowerEdgeサーバはベストの組み合わせ。ウィンウィンの戦略的な提携で,いよいよエンタープライズLinuxはメインストリームに踊り出ようとしている」と話した。

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[浅井英二 ,ITmedia]