ブロードバンドがLinux普及の追い風に

【国内記事】2002.3.01

 日本オラクルは,3月1日に開催した「Oracle Linux Summit 2002 Spring」に合わせ,同社のLinux戦略を解説するプレス向け説明会を行った。

 この席で,日本オラクルのシステム製品マーケティングブディレクターであり,ミラクル・リナックス取締役製品本部長も兼ねる藤城薫氏は,「昨年秋のOracle Linux Summit 2001 Autumnのアンケート結果によれば,6割がLinuxの導入にポジティブな意向を示した。また出荷数も,一昨年,昨年,今年と堅調に伸びている」と述べた。

 さらに「内部のイントラネットという用途ではなく,外部に公開するインターネット向けの用途がLinuxの牽引力になっている」(同氏)と言う。より具体的にいってしまえば,Linuxの推進力となるのはブロードバンドの普及だ。

 同社はカンファレンス前の1週間,携帯電話向けソリューション「Oracle9i Application Server Wireless Option for Linux」(9iAS Wireless Option for Linux)や「Oracle Internet File System」(Oracle 9iFS)のLinux版提供など,矢継ぎ早にLinux関連の発表を行ってきた。これらも,ブロードバンドを前提とした新たなアプリケーションを視野に入れたものである。

 たとえばOracle 9iFSは,インターネットを流れるコンテンツの主流がテキストから動画などへと移行することを想定し,ブロードバンド向けのコンテンツ配信や著作権管理,セキュリティといった機能をデータベースを基に実現するという。これはまた,リッチなエンタープライズポータルの実現にも寄与する。

 また,「柱の1つがモーバイル」(藤城氏)という同社にとって,9iAS Wireless Option for Linuxも重要なコンポーネントだ。Linuxはこのオプションが登場することで,モーバイル機器を対象としたコンテンツ配信システムのプラットフォームの有力な選択肢になるとした。

 さらに,今後登場する「MIRACLE LINUX for IA64」「Oracle9i for IA64」,そしてデルコンピュータとの協業に基づく「Real Application Clusters for Linux」など,堅牢かつスケーラビリティを備えたプラットフォームの提供を通じ,ハイエンドサーバの分野でもプレゼンス拡大を目指す。

 同氏によれば,「ERPのような大規模アプリケーションは必ずしもサポートしきれていなかった」というのも事実。だが24時間365日止まらないサービスを実現する次期製品群によって,SAPをはじめとする基幹系アプリケーションのプラットフォームとしての役割も担っていくとした。

「Linuxは,興味を持ってちょっと試してみるという段階から,本気で導入を考えた評価・検証のステップへと移っている。われわれはそれを肉付けするための付加価値を提供していく」(藤城氏)

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[高橋睦美,ITmedia]