エンタープライズ:トピックス 2002年5月13日更新

「つながるエンタープライズはビジネスを変える」とマイクロソフト

 マイクロソフトは5月13日,2日間開催される「The Microsoft Conference 2002/Spring」を東京国際フォーラムで開幕した。XML WebサービスでEAIやB2Bシステムを構築することによって,得られるビジネス上でのメリットの大きさが,講演や展示ブースで全面にアピールされている。

阿多親市社長

「必要な情報がリアルタイムに届かなければ,“Agility”は実現できない」と話す同社の阿多親市社長。現状のシステム間連携は「アプリケーション同士が個別に接続していること」という。

 つまり,1対1の連携が集合しただけのスパゲッティ状のネットワークになってしまっているということだ。これでは,情報の流れは必ずどこかで止まってしまう。この状況を打開するべく同社が提案するのが「ハブ・アンド・スポーク」の考え方だ。

 ハブ・アンド・スポークは,点在するシステムの真ん中に「ハブ」を置き,ハブとシステムを「スポーク」でつなぐイメージだ。ここで,アプリケーション同士が連携する場合は,常にスポークを通じてハブを経由する形になるため,アプリケーション間で1対1の固有の枝は発生せず,システム連携がスパゲッティ状になることを避けられる。

 同社がアピールするハブ・アンド・スポーク型システム構築の中心となるのは,BizTalk ServerとXML Webサービスだ。人事や会計,販売,在庫などさまざまな企業内システムを統合するEAI(Enterprise Application Integration),あるいはパートナー企業間などを統合するB2Bシステム構築の場面でも,BizTalk ServerとXML Webサービスが同社のソリューションの基盤になる。

 そして,技術と並んで規定する必要のあるビジネスルールについても,RosettaNetなど業界ぐるみで仕様を規定していく動きが出てきている。

 阿多氏は「BizTalk Serverは2001年度に全世界で890社に導入した実績がある」と強調する。これは,ビトリアやシービヨンドなどEAIソリューションのライバル4社の合計を上回る数という。

 この日は,企業のサプライチェーンシステムの一部として,XML Webサービスとして公開されている納期回答アプリケーションを自社システムと連携して利用するデモが行われた。デモでは,エスプレッソの商品を1つ発注した顧客に対して,納期回答を提供するXML Webサービスが処理した回答日「5月16日」が示された。

 また,Webサービスのボトルネックと言われるパフォーマンスについても,同社は「毎秒60件の納期回答処理をしている」として,以前より改善されたパフォーマンスをアピールする。6台のサーバが用意されたデモ環境では,毎秒360件の処理を行った。ここでは,必要とされる処理の大きさに応じて,サーバを順次追加していくスケールアウトによる拡張の有効性が,改めて強調されている。

 このように,XMLとインターネットをベースにしたXML Webサービスを利用した場合,システム連携は容易だ。

 一方で,例えば,XML Webサービスではない従来の方法で,納期回答を含むサプライチェーンのシステムを構築する場合,システム設計から開発,テスト,導入と合わせると膨大な時間と金が掛かるとマイクロソフトは主張している。

 今後のXML Webサービスの問題点は,この先,どれくらい便利で複雑なアプリケーションに対応していけるかだ。パフォーマンスの問題やセキュリティ,開発および実行環境の整備など,まだ課題は多い。

 もし,XML WebサービスやJ2EEのWebサービスのパフォーマンス,および技術が向上して,アプリケーションをインターネットを通じたサービスとして利用するのが当然のこととなった場合,システム開発手法が現状とは大きく異なったものになる可能性はある。

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[怒賀新也 ,ITmedia]