エンタープライズ:トピックス 2002年5月28日更新

日本オラクル,ブロードバンドと並ぶ成長市場のバイオにフォーカス

 日本オラクルは5月28日,都内の本社でプレス/アナリスト向けのブリーフィングを行い,新しい事業領域であるライフサイエンス分野への取り組みについて明らかにした。新宅正明社長は,「バイオは,それ自体の市場性もあるが,さらに新たなビジネスにつながる」とし,ブロードバンドと並んで重要な新規事業領域として位置付ける。

 米オラクルでは昨年8月,営業,開発,マーケティング,コンサルティング,ビジネス開発からなるライフサイエンスチームが発足,今年に入ってからはカスタマーアドバイザリーボードで次期バージョンのOracle製品で追加するバイオ関連機能を洗い出し始めている。日本オラクルでも昨年12月,バイオインフォマティクスチームが発足し,カスタマーアドバイザリーボードには日立製作所ライフサイエンス研究所の参画を得ている。また,京都大学バイオインフォマティクスセンターのゲノムネットなどにOracleが採用されている。

 ブリーフィングには国立がんセンター研究所がん情報研究部の水島洋博士が招かれ,「人の遺伝子(ヒトゲノム)情報は30億文字からなり,人は60兆個の細胞からつくられている。つまり,60兆個×30億文字という膨大な情報量となる。解析はあらゆる生命体に広がっており,遺伝子情報は指数関数的に増えている」と話す。

 また,バイオは単に遺伝子配列の解析にとどまらない。ゲノム情報を用いた新薬の開発や個人に応じた投薬,つまりパーソナライズされた医療の実現にもつながる。既に米国の食品薬品局(FDA)では,薬の申請にゲノム情報の付加を求めるなど,パーソナライズされた医療への布石も打たれているという。

「もはや大量情報科学処理が必須」と水島氏はバイオインフォマティクス(バイオIT)の重要性を強調する。

 だが,バイオ関連の膨大なデータはそのほとんどがフラットファイルで公開され,しかも数値,文献,イメージなどが混在している。きちんと更新されている公的なデータベースだけでも500を越え,これに商用のデータベースやプライベートなデータベースを連携させる必要もある。Oracle9iのような強力なRDBMSが求められる背景にはこうした事情がある。

 オラクルでは,次期バージョンのOracleで「BLAST」と呼ばれる検索アルゴリズムをコアに組み込み,類似した遺伝子の配列やタンパク質の配列を高速検索できるようにするなど機能強化を図る計画だ。また,4月に米国のサンディエゴで行われたLife Sciences Dayでは,バイオ版の「Information Architeture」も明らかにされ,Oracle Clinical,Oracle Process Management,Oracle CRM,およびサードパーティー製品を組み合わせ,化合物の発見から,新薬の開発,商品化,およびセールスとマーケティングまで,すべてのバリューチェーンにおいて,エンドツーエンドのバイオインフラを提供するとしている。

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[浅井英二 ,ITmedia]