エンタープライズ:トピックス 2002年6月13日更新

小さくなった「Itanium 2」、リリースは7月14日頃

 インテルのハイエンドサーバ/ワークステーション向け次世代チップ「Itanium 2」が、小さくなった。

 数週間以内に登場する同チップの最終版は、表面積が421平方ミリと、当初の計画よりも約10%小さくなる予定。このようにサイズを縮小できたのは、製造技術が改善されたためだと、インテルは説明している。

 それでもItanium 2はプロセッサとしては比較的大きい方と言える。しかし、サイズ縮小により、インテルにはコストと製造の面で少し余裕が出てくるだろう。インテルは2月に、同チップのサイズは464平方ミリになると語っていた。スリム化されなければ、同チップはここ数年で最も大きなチップの部類に入っていただろう。

 チップのサイズが大きいと、1枚のウエハーから切り出せるチップの数が少なくなるため、製造コストが高くなる。またアナリストによると、通常はチップサイズが大きいほど欠陥が出る可能性が高いため、歩留まり(1枚のウエハーから取れる良品チップの割合)が低くなるという。

「数十平方ミリ小さくなったことで、ダイサイズと不良品率が縮小し、歩留まりが向上するだろう」と、コンサルティング会社マーキュリーリサーチの主席アナリスト、ディーン・マキャロン氏。

 Itanium 2(コードネーム:McKinley)はおそらく、インテルにとって今年リリースする中で最も重要な製品だろう。同チップは、IBMのPower4やサン・マイクロシステムズのUltraSPARC IIIと同様に、データを64ビット単位で処理する。サーバ用チップのXeonシリーズなど、ほかのインテルチップは32ビット単位でデータを処理する。

 64ビットチップにはさまざまな性能上の利点があるが、特にサーバメーカーは、(32ビットチップより)はるかに多くのメモリをシステムに搭載することができる。これは、大規模データベースを動かす上で重要だ。当然ながら、64ビットチップ/サーバは32ビットチップ/サーバよりもずっと高い価格で売られている。

 しかし、初代Itaniumチップは、商業的な成功を収められなかった。同チップは何度もリリースが延期された揚げ句、コンピュータメーカーや企業のIT購入担当者にほとんど受け入れられなかった。性能が中程度であること、対応ソフトが少ないこと、そして景気の低迷が同チップに打撃を与えたと、企業幹部やアナリストは語っている。

 だがインテルなどは、Itanium 2ではそんなことにはならないだろうと主張している。同社によると、同チップの性能は初代Itaniumの2倍だという。またIBM、ヒューレット・パッカード(HP)、NECなどメーカー各社は、同チップ向けにサーバやチップセットなどの技術を開発するべく多額の資金を投じている。同チップが登場する頃には、対応OS/データベースも増えているだろう。

「(Itanium 2への)需要は高まってきているが、それでも出荷量は数万個程度と、Xeonシリーズを大きく下回るだろう」とマキャロン氏。

 Itanium 2は、当初2001年にリリースされる予定だったが、7月14日のすぐ後に登場する可能性が高い。HPは(14日から始まる)7月第3週に、同チップ向けのUNIXをリリースする見込み。インテルは、同チップのリリース予定を今年中盤としていた。

 同チップに買い手が見つかれば、インテルはサーバメーカーと協力してサンの顧客を奪うことができるだろう。あるいは、プロセッサ市場のあらゆる分野で首位を獲得できるかもしれない。

 だがインテルは、サーバ分野でもAMDとの競争に直面している。AMDによると、同社は来年、32ビット/64ビットソフトの両方を処理でき、製造コストも比較的安いサーバチップ「Opteron」をリリースする予定だという。最近まで、同社はサーバ市場に参戦していなかった。

421平方ミリの理由

 Itanium 2のサイズが大きいのには、いくつか原因がある。同チップは180ナノメートルプロセスで製造され、大容量のキャッシュ(アクセスを高速化するために、プロセッサの近くに置かれるデータ貯蔵領域)を備える。同チップには、3Mバイトの3次キャッシュ、256Kバイトの2次キャッシュ、32Kバイトの1次キャッシュが統合されている。

 初代Itaniumは、4Mバイトの3次キャッシュ(ただし、これは別のチップ上に配置されている)と96Kバイトの2次キャッシュを備えている。また、Itanium 2は初代よりも多くの内部サブシステムを備え、全部で2億2100万のトランジスタを搭載している。

 最初にリリースされるItanium 2は、1GHzで動作する見込み。

 まだItanium 2が市場に登場していないにもかかわらず、後継チップの開発は既に進行中だ。2003年にリリース予定の「Madison」は、130ナノメートルプロセスで製造されるため、Itanium 2よりもサイズが小さくなるだろう。ただし、ベースとなる設計はItanium 2と同じだ。その次には消費電力を抑えた廉価版Itanium「Deerfield」が登場する。

 2004年にはMadisonの後継チップ「Montecito」が、2005〜2006年にはその後継チップ「Chivano」が登場すると、情報筋は話している。

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原文へのリンク

▼Intel shrinks its Itanium 2

[Michael Kanellos ,Special to ZDNet News]