エンタープライズ:インタビュー 2002/07/10 19:18:00 更新


Interview:「BEA WebLogic Platformは、ROIやTCOに確実に貢献できる」とBEAのCTO

日本BEAは、「BEA Developers Conference 2002」で、今後の主力製品となる統合アプリケーション構築プラットフォーム製品「BEA WebLogic Platform 7.0J」をリリースした。同製品は、単なるバンドル製品でなく、必要な機能を完全に統合した製品という。同製品の販売戦略などを、米BEAのCTO、スコット・ディッゼン氏に聞いた。

日本BEAシステムズは7月9日〜10日の2日間、都内ホテルでJ2EE開発者向けイベント「BEA Developers Conference 2002」を開催。今後、同社の主力製品となる統合アプリケーション構築プラットフォーム製品「BEA WebLogic Platform 7.0J」をリリースした。そこで、同イベントのために来日した米BEAシステムズのCTO(最高技術責任者)、スコット・ディッゼン氏にBEA WebLogic Platformの特徴や優位性、販売戦略などについて話を聞いた。

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米BEAシステムズのCTO、スコット・ディッゼン氏

ZDNet 日本でもついに、BEA WebLogic Platformがリリースされました。この製品はどのような特徴を持った製品なのでしょう。

ディッゼン BEA WebLogic Platformは、単なる機能のバンドル製品ではなく、アプリケーションサーバを中核に、企業ポータル、インテグレーション、セキュリティ、統合開発環境などがプラットフォームとして完全に統合された製品です。

 さまざまな機能をプラットフォームとして完全に統合することで、単一のインストール環境、単一の開発環境、単一の実行環境、単一の管理環境、単一のセキュリティ環境を実現しています。また、高い柔軟性や拡張性、可用性、安全性に加え、使いやすさを兼ね備えたアプリケーション開発環境を提供することが可能です。

ZDNet BEA WebLogic Platformのような統合インフラ製品は、技術面だけでなく、例えばROI(投資利益率)やTCO(総保有コスト)など、経営者にも分かるメッセージが必要になると思いますが。

ディッゼン その通りです。ROIやTCOという観点から経営者に分かりやすいメッセージを提供することは重要です。ただし、われわれが提供するWebLogic製品群は、データベース製品やOS製品などと同じようにビジネスアプリケーション抜きでROIやTCOを語ることはできません。また、顧客のシステム環境やシステムに対する考え方は、それぞれに違うために、容易にROIやTCOを導き出すというわけには行きません。

ZDNet それではBEAでは、ROIやTCOを算出するために、どのような方法を使っているのでしょう。

ディッゼン われわれは、既にWebLogic製品を利用しているさまざまな業種の顧客と協力することで、ROIやTCOを算出し、それをベースに比較検討することで、見込み顧客にROIやTCOの情報を提供する方法を取っています。

ZDNet BEA WebLogic PlatformがROIやTCOに貢献できるのはどのような理由からでしょう。

ディッゼン 既にお話した通りわれわれの製品は、企業ポータル機能やインテグレーション機能、セキュリティなどがアプリケーションサーバ上に密に連携されています。そのために、導入コストを低く抑えることができるだけでなく、アプリケーションの開発やその実装、運用および管理などを大幅に合理化することが可能です。

 また、テクノロジーもシンプルになり、既存システムやレガシーシステムを有効に利用できる拡張性も兼ね備えています。このような仕組みを実現することで、ROIを向上し、TCOを削減することに貢献できるのです。

ZDNet アプリケーション開発の面ではどうでしょう。これまでBEAの弱点は、統合開発環境がないことといわれ続けていましたが。

ディッゼン 今回、リリースしたBEA WebLogic Workshopや、既に提供しているWebLogic Builder、EJBGenなどにより、WebLogic用のアプリケーション開発のしやすさは、以前に比べ非常に向上されたと思っています。

ZDNet 例えば、IBMが設立したEclipsコミュニティに協力していくような計画はあるのでしょうか。

ディッゼン 答えは「はい」と「いいえ」の両方です。「はい」と答えたのは、現在パートナー企業と協力してEclips用のWebLogicプラグインを開発しているからです。しかし、WebLogic Workshopの技術をオープンソースに公開するようなことは考えておらず、そうした面では「いいえ」です。

 個人的には、Eclipsコミュニティの設立は遅すぎたと思います。もしこれが1998年ごろに設立されていたら、ボーランドやトゥゲザーソフトなど、多くのツールベンダーが参加していたと思います。

ZDNet インテグレーション分野では、今年に入って「リキッド・データ」の話が少しずつ出ていますが、これはどのような技術なのでしょう。また、どのような製品としてリリースされる予定ですか。

ディッゼン リッキッド・データは、XMLベースをベースに異機種混合のデータやローカルに存在するデータを統一されたビューにより、容易に利用できる環境を実現する新しいデータ管理コンセプトです。グラフィカルなツールを利用して、ERPやCRMなどのアプリケーション間で利用されるデータの定義をするだけで、アプリケーションを変更することなく、異なるアプリケーション間でデータ形式の違いを意識することなくデータの交換を可能にします。

 現在は、特定ユーザー向けにベータプログラムを展開している段階ですが、製品がどのような形態でいつリリースされるかについては、まだお話できません。ただし、BEA WebLogic Integrationの1つの機能として実装されることになると思います。

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[山下竜大,ITmedia]