エンタープライズ:ニュース 2002/09/05 20:22:00 更新


Teradataに社運を賭けるNCR

ハードウェア事業が落ち込みを見せる中、NCRのTeradataデータウェアハウス事業が同社の利益に大きく貢献しているという。今年上半期、国内では18%成長し、ブリーフィングを行った日本NCRの上田社長は、「社運を賭けた事業」と話す。

 世界的な景気後退局面が続く中でもNCRの「Teradata」データウェアハウス事業は比較的堅調に推移しているようだ。日本NCRが9月5日、都内でプレス向けのブリーフィングを行い、明らかにしたもの。

 ブリーフィングに出席した日本NCRの上田寿男社長によると、ワールドワイドのTeradataデータウェアハウス事業は、2002年上半期の売り上げが前年同期比3%増の6億ドル、利益は5500万ドルとなり、ハードウェアの事業が落ち込む中で大きな貢献を果たしているという。ちなみに2002年上半期、NCRの全売上高は前年同期比9%減の26億2700万ドル、利益は6000万ドルだった。消費の冷え込みから、同社が得意とする流通業界からの受注減が影響したようだ。

 Teradataのビジネスは多額の研究開発費を要したことから、昨年後半ようやく黒字に転換したばかりだが、「社運を賭けた事業」と上田氏は話す。

 国内のTeradata事業は、さらに順調に成長しており、2002年上半期は前年同期比18%増となった。企業名こそ明かさなかったが、ある大手通信事業者に28テラバイトという大規模なデータウェアハウスシステムを納入したという。

 Teradataは、データウェアハウス専用に開発された超並列RDBMS。テラバイトクラスの大規模データウェアハウスでは、他社を寄せ付けない稼動実績を誇る。日本国内でも、Teradataで1テラバイトを超えるデータウェアハウスを構築している企業は40社に上る。

 ちょうど1年前に米国を襲った同時多発テロのあと、愛国心から星条旗を買い求める米国市民が多かったが、その大半を売ったのが、Teradataのビッグユーザーであるウォルマートだったいう。

 同社はTeradataによって200テラバイトものデータウェアハウスを構築し、各店舗のPOSから送られてくる情報を元にリアルタイムでデータを更新している。社内のバイヤーだけでなく、サプライヤーも商品ごとの販売・在庫データを把握でき、さらに自動発注も行われる。ダイナミックなデータウェアハウスを活用したウォルマートは、メーカー在庫をすべて抑えることに成功したという。

 上田氏は、今後の国内市場では、流通や金融に続き、SCMが注目されている製造業も潜在的にデータウェアハウスの需要が見込めるとする。

「日本は製造業が強い。重要な市場として注目し、戦略的に取り組んでいきたい」と上田氏は話す。

 なお、今月末にはネバダ州ラスベガスで「Teradata PARTNERS 2002」ユーザーカンファレンスが開催され、データウェアハウスの成功事例が多数発表されるほか、新製品のアナウンスも予定されている。

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[浅井英二,ITmedia]