エンタープライズ:ニュース 2002/09/20 12:40:00 更新


Keynote:「N1が次世代運用管理の主流に」とサンのマッケイ副社長

2日を迎えたサンフランシスコの「SunNetwork」カンファレンスで、サンはデータセンターの運用を効率化する「N1」のロードマップを明らかにした。サーバやストレージをデータセンターという大きなコンピュータのコンポーネントとして考え、ボックスごとに管理するのではなく、ネットワークとして捉えるアプローチだ。

 9月19日、カリフォルニア州サンフランシスコの「SunNetwork 2002 Conference」は2日目を迎え、サン・マイクロシステムズがデータセンターの運用を効率化する「N1」のロードマップを明らかにした。

 19日朝の基調講演に登場したスティーブ・マッケイ副社長(N1担当)は、「向こう10年の主流となるアーキテクチャだ」と話す。

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かつてSolarisも担当していたマッケイ氏

 今年2月、やはりサンフランシスコで行われたアナリストカンファレンスでその構想が明らかにされたN1は、データセンターのさまざまなリソース(サーバ、ストレージ、ソフトウェア、ネットワーク装置など)を効率良く運用していくためのビジョンであり、アーキテクチャであり、そして製品だ。サンのプラットフォームだけでなく、Windowsを含むマルチベンダーの異機種混在環境をサポートするのが大きな特徴だ。Sun ONE(Sun Open Net Environment)が開発効率を高めてくれるのに対して、N1は運用管理者向けだと考えればいい。

 マッケイ氏は、N1構想の背景には「データセンターはあまりにも複雑になりすぎている。リソースも十分活用されていない」という顧客らの声があるとする。

 彼は、スクリーンに典型的なデータセンターの稼働率や管理者の数を映し出した。サーバが15〜30台ごと、ストレージが1テラバイトごと、ネットワークは50〜100ポートごとにそれぞれ管理者が必要になり、それでもサーバの稼働率は「6〜15%」に過ぎないというのは驚きだ。さらに複雑さゆえに、機動的にアプリケーションを配備することもできない。マッケイ氏によれば、顧客らはIT予算の70%を複雑なデータセンターの管理に費やしているという。

 サンには創業以来のフィロソフィーとして「The Network is the Computer」(ネットワークこそコンピュータ)があるが、20年を経た今も変わりはない。N1のインパクトは「革命的」だが、既に20年に及ぶ同社の技術や経験が生かされる「進化的」なものだ。

「N1でも、サーバやストレージをデータセンターという大きなコンピュータのコンポーネントとして考え、ボックスごとに管理するのではなく、ネットワークとして捉える。“The Computer Built Out of the Network”(コンピュータがネットワークからつくられる)だ」(マッケイ氏)

 N1のアーキテクチャは、サーバやストレージといった各種リソースを「仮想化」するためのエンジンと、それによってプール化されたリソースを特定のサービス(アプリケーション)のために確保する「プロビジョニング」機能、そして、サービスの状態を「遠隔測定」する機能から構成される。サンによれば、サーバやストレージといったボックスの内部を詳しく監視する既存の管理ソフトウェアとはレイヤが異なり、補完関係にあるとする。

 基調講演のステージでは、テクノロジーデモンストレーションも行われた。新しいサービスを稼動させるまでのプロセスを運用管理者のコンソールから行ってみせたのだが、従来のアプローチとは全く異なる。

 サービス名称やURLといったサービスに関する基本的な情報を先ず入力し、次は目標とするサービスレベルを決める。参照の時間が1秒、購入は5秒、同時顧客数15万人、総顧客数200万人といった具合だ。こうしたトップダウン的なアプローチのあと、今度はサービスは3階層、Apache Webサーバ、Sun ONE Application Server、Oracle9iと選んでいくと、下の写真のような論理構成図が表示され、配備などのフェーズに進む。運用を始めてから同時顧客数を倍に増やしたい場合もサービスレベルを決めるインタフェースで、数字を増やしてやるだけだ。

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ステップバイステップでサービスレベルやサーバを選んでいくと、こうした構成図が描かれていく

 この日明らかにされたロードマップによれば、仮想化エンジンが年内、プロビジョニング機能が2003年、測定した結果からサービスレベルを維持するためにリソースを再配置してくれるポリシーオートメーション機能は2004年に登場する。

 N1と統合された最初のプラットフォームとして、年内にブレードサーバのリリースも予定されている。

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[浅井英二,ITmedia]