エンタープライズ:ニュース | 2002/11/19 23:18:00 更新 |
Keynote:「サンがコンピューティングをシンプルにする」とマクニーリーCEO
COMDEX/Fall 2002初日、HPのフィオリーナ氏に続くキーノートスピーカーは、サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリー氏だ。観客の期待通りの毒舌で、IBMやマイクロソフトをこき下ろした。
COMDEX/Fall 2002初日の18日、米ヒューレット・パッカードのフィオリーナ氏に続くキーノートスピーカーは、米サン・マイクロシステムズ会長兼CEOのスコット・マクニーリー氏だ。観客の期待通りの毒舌で、米IBMや米マイクロソフトをこき下ろした。
株価の下落や、先日世界規模でのレイオフを発表したばかりということもあってか、スピーチの冒頭で、サン・マイクロシステムズの先行きに対する悲観的な見方を否定し、「キャッシュフローは十分にある」と財政に問題ないと説明、「Sun rise again」と自信を見せた。
米サン・マイクロシステムズ会長兼CEOのスコット・マクニーリー氏。手にしたメモカードをめくりながら、雑談のように語りかけるおなじみのスタイル
米オラクルのラリー・エリソン氏がいない今年、確かにマクニーリー氏の右に出る毒舌家はほかにいない。IBMのe-ビジネス戦略に対しては、「企業が一旦IBMのサービスに身をゆだねたら彼らの言うままに動くしかなくなる」、マイクロソフトには「彼らがなんと言おうと、最終的にはマイクロソフトだけが儲かる仕組みにしかなっていない」、デルには「彼らは単なる流通チャネル」とめった切りにしていた。
そうした毒舌を交えながらも、マクニーリー氏が訴えたのは、サンこそが、現在のコンピュータの複雑なシステムをシステムをシンプルなものにできるというメッセージだ。曰く、「人はいったい一生にどのくらいのパスワードを覚えてなくてはならないのか。サン(などの進めるLiberty Alliance)ならシングルサインオンが実現できる」。曰く、「コンピュータシステムを構成するハードウェアやソフトウェアは、いわばレゴのブロックのようなもの。企業が自分でブロックを集めて組み立て、検証しなくても、サンが組み立てて検証した、きちんと動くものを提供できる」という。
JavaCardでユーザーを認識し、ネットワークで繋がっていれば、世界のどこの端末でも自分の作業端末になるSunRayシステム。メールを書きかけで端末を移動しても、そのままの状態で作業を続けられる
また「(アプリケーションを個々のプラットフォーム用に書かなくてはならない)Application Binary Environment(ABE)はもう捨てよう! J2EEでプログラムを書けばSolarisでもLinuxでも(そしてほかのUNIXでも)動作させられる」とした上で、「Solarisを使えば、高性能のSun ONE Application Serverがタダで使える」とSun ONEをアピールすることも忘れていない。新しいものではないがSunRayシステムもあらためてデモンストレーションし、「SunRayの簡便さ、強固なセキュリティが評価されつつあり、政府や教育機関などでの導入も始まった」としている。
そしてマクニーリー氏は最後に、現在サンがかなりの投資をして取り組んでいるネットワークストレージを仮想化する「N1」のデモンストレーションを行った。N1はまだそのビジョンの最初の段階だが、コンソールからサーバ/ストレージ構成を操作して見せた。
N1のコンソール画面。サーバやユーザー、ポリシーなどを一元管理できる
IT不況、とりわけ大顧客だったテレコミュニケーション企業の投資減の影響をもろに受け、厳しい経営環境のサン・マイクロシステムズではあるが、マクニーリー氏のスピーチにやってきた数千人の観客のためにも、COMDEXでのキーノートを続けて欲しいものだ。
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COMDEX Fall 2002 レポート
[佐々木千之,ITmedia]