エンタープライズ:ニュース 2002/12/05 23:28:00 更新


「スポンサードサーチは中小企業にも適した方法」というオーバーチュア

スポンサードサーチというユニークな広告モデルを展開するオーバーチュアは、12月より本格的なサービスを開始した。同社の鈴木茂人社長によると、立ち上がりは上々だという

 ポータルサイトの検索結果のページに、特定の検索キーワードに合致した広告主サイトのURLとタイトル、広告テキストを表示するというユニークな広告モデル、「スポンサードサーチ」を打ち出したオーバーチュアの日本法人が、本格的な活動を開始した。

 オーバーチュアが日本法人を設立し、営業活動を開始したのは今年7月のこと。それから5カ月強の準備期間の間に、「goo」「infoseek」「Lycos Japan」「MSN」「Yahoo! Japan」といった代表的なポータルサイトと提携を結び、12月より本格サービスを開始した。この5つのサイトとの提携によって、日本のインターネットユーザーの87パーセントをカバーできるという。

 スポンサードサーチという同社のビジネスモデルは、入力されたキーワードとの関連性に応じて結果が表示される検索システムとも、単なるバナー広告とも異なる。各ポータルの検索システムに、ユーザーが特定の商品やサービスに関連したキーワードを入力すると、スポンサードサーチの枠に広告主の登録サイトが表示されるというものだ。この際の表示順は、入札形式による支払い額に準じる。

 この形式が登場した当初は、「検索結果が広告の額に左右されてもいいのか」といった懸念の声もあったが、それは当てはまらないと同社代表取締役社長の鈴木茂人氏は言う。「ユーザーにとって重要なことは、お金がかかっているかどうかということよりも、求めていた結果がぴたりと出てくるかどうかだ。ユーザーに対するアンケート結果を見ると、(スポンサードサーチは)広告というよりも、よりよい検索だとみなされている」(同氏)。

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「オーバーチュアのビジネスモデルは口コミでSOHOなどにも広まっていくのでは」と鈴木社長

 それを支えるのが、検索キーワードに対する厳密なガイドラインと高品質な編集作業だという。「米国のノウハウやガイドラインのうえに、品質を重視する日本市場に合わせたサービスを展開している。たとえば“絶対”“世界一”といった言葉は使わないようにしているし、あくまでユーザーにとってどう見えるかという観点から編集を行っている。これは機械的な検索だけではできない部分であり、オーバーチュアならではの価値を創造できる部分でもある」(鈴木氏)。

 結果として、サービスの立ち上がりは上々という。広告主サイドも、投資対効果を明確に把握できること、1万、2万といった手軽な値段から始められることなどを受けて、予想を超えるペースで申し込みがあるということだ。特に自動車保険や転職・求人といった分野の人気は高いという。

 中でも同社が期待しているのは、中小企業やSOHOなどによる出稿という。「当初は、投資対効果の高さに着目する大企業や中堅企業が中心になるだろうが、中長期的には、ニッチなところに特化した中小企業に期待している。これまで“バナー広告もいいけれど、予算には手が届かない”と考え、インターネット広告をあきらめていた中小企業にとって、入札額を自分で決めることができ、効果があれば積み増しも可能なスポンサードサーチはいい方法だと思う」と鈴木氏は語る。

「今後、バナーがなくなることはないだろうが、どちらかといえばブランド力強化のための手段となるだろう。これに対しスポンサードサーチは、投資対効果がはっきり見える、売上に直結するツールという具合に、住み分けができていくだろう」(鈴木氏)。そして、スポンサードサーチというビジネスモデルに対する信頼性が高まり、理解が深まれば、自然とこの市場は広がっていくだろうとした。

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[高橋睦美,ITmedia]