エンタープライズ:ニュース 2003/01/10 21:14:00 更新


2003年、HPがユーティリティでIBMに挑む

日本ヒューレット・パッカードはhp-uxを中心とした64ビットサーバに関し、2003年の戦略のベースとなる動きについて説明するプレス向けのブリーフィングを行った。IBMのe-ビジネスオンデマンドに対抗するUtility Data Center(UDC)に注力することが紹介されている。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は1月10日、hp-uxを中心とした64ビットサーバに関し、2003年の戦略のベースとなる動きについて説明するプレス向けのブリーフィングを行った。ブリーフィングでは、同社がAdaptive Infrastractureを全社的な戦略とし、IBMのe-ビジネスオンデマンドに対抗するUtility Data Center(UDC)に注力することが紹介された。また、Itanium Processor Family(IPF)における製品群の整備や、メインフレームユーザーをIPFプラスhp-uxといったオープン環境へと移行させる事業にも積極的に取り組むことも明らかにされている。

 Adaptive Infrastractureはもともと、合併前のコンパックコンピュータがProLiantシリーズの効果的な管理を実現するためのコンセプトとして提唱したもの。合併後は、新生HP全体の企業向け戦略を示すコンセプトになる。同コンセプトでは、サーバやネットワーク機器、ストレージ、データベース、ミドルウェアなど、さまざまなシステム環境に順応性のある製品を用いて、ビジネス戦略や業務プロセスの変化に柔軟に対応するシステムを提供することが基本的な考え方になっている。

 具体的な製品としては、ハードウェアはHPの製品が中心。OSはhp-ux、OpenVMS、Tru64、NonStop Kernel、Windows、Linuxが対象となる。リソースのバーチャライゼーション(仮想化)および最適化はUDC、管理プラットフォームはhp OpenView、アプリケーションプラットフォームとしては、BEAシステムズやオラクル、マイクロソフトなどのパートナーの製品が対象として挙げられている。

 UDCは、仮想ネットワークや仮想サーバ、仮想ストレージといった技術をベースにしたシステムリソースを、銀行のIT子会社や、システムインテグレータなどに提供するもの。IBMも同様のサービスを行っており、こうしたサービスの利用を検討するユーザーから見た場合、HPかIBMのどちらかのプラットフォームを選択することになると言っていい。この日も幾度となく、IBM型のソリューション展開に対するHPの比較優位性をアピールする言葉をHPの担当者から聞くことができた。

 一方、既存のプロセッサであるPA-RISC、Alpha、MIPSなどを将来的にすべてIPFに統一する同社は、インテルとIPFを共同開発したことによる技術優位性を生かす考えだ。例えば、コンパイラやチップセットの開発で、共同開発ならではの技術的メリットを生かす。また同社は、2004年にはデュアルコア版のMadison(Itanium 2の次のバージョン)を投入して、他社との差別化を図っていく。そして、IPFというハードウェアプラットフォームに対して、適材適所で複数のOSをサポートするとしている。

 さらに、現在メインフレームを使っている企業ユーザーをオープン環境へと移行させるプロジェクトも発足させる。この日は、2002年10月にガートナーデータクエストがシンポジウム 2002で示したデータとして、メインフレームのシェアが世界では15.7%に対して、日本では31.2%となっており、日本が「メインフレーム大国」であることが紹介された。同社は、これらのメインフレームユーザーがオープンシステムへとシフトする傾向がさらに強まると話す。既に、金融業者や製造業者など10件ほどの引き合いが来ており、週1件のペースで増加しているという。

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[怒賀新也,ITmedia]