エンタープライズ:ニュース | 2003/01/28 08:35:00 更新 |

基調講演:ジュリアーニ前NY市長、Lotusphereで「コミュニケーション」の大切さを語る
IBMソフトウェアグループLotus部門の年次ユーザーカンファレンス「Lotusphere」がフロリダ州オーランドで開幕した。この1月初めに就任したばかりの新GM、ゴヤール氏のお披露目でもある。彼は、前ニューヨーク市長のジュリアーニ氏を基調講演に招いた。
フロリダは、スーパーボウルで地元タンパベイが初制覇を遂げると、記録的な大寒波も峠を越した。米国時間の1月27日、「Lotusphere」カンファレンスが初日を迎えると、フロリダ州オーランドのウォルトディズニーワールドにもいつもの眩しい太陽が戻ってきた。
これまでIBMソフトウェアグループのロータス部門でGMを務めていたアル・ゾラー氏が1月初め、eServer iSeriesの責任者へと転出したため、今年で10回目を数えるLotusphere Orlandoは、新しいリーダー、アンブッシュ・ゴヤール氏のお披露目ともなった。
オープニングでは、ゾラー氏からゴヤール氏へバスケットボールを手渡すという「セレモニー」も行われ、ドルフィンホテルの巨大なボールルームに集まった5000人の聴衆は暖かい拍手を送った。
ゴヤール氏は、1982年にIBMワトソン研究所の研究員として入社、DB2やWebSphereの基盤となる技術の研究開発に携わった。Lotus、WebSphere、DB2、そしてTivoliというミドルウェア4ブランドのインテグレーションをオープンスタンダードベースで推進するIBMらしい人選といえる。
そのゴヤール氏が基調講演に招いたのは、前ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏だ。割れんばかりのスタンディングオベーションで迎えられた彼は、イラク情勢が緊迫する中、自らの経験、特に一昨年の9.11同時多発テロでの経験を踏まえ、リーダーシップについて話した。
「リーダーシップとは、ビジネスの成功に必要なだけでなく、緊急事態に対応する能力でもある」とジュリアーニ氏。IBMソフトウェアは、同時多発テロで混乱に陥ったニューヨーク市のために、多くのスタッフを派遣し、Notes/Dominoによって対策本部のコミュニケーション能力を支えた経緯がある。
ジュリアーニ氏は幼いころ父親から「結婚式はともかく、葬式だけは出席しろ」と教わった。家族が最愛の人を失い、救いを求めているからだという。
テロによって壊滅したグラウンドゼロでは、多くのボランティアが不眠不休で働いた。彼は、企業が問題を抱えたときにもそれは同じだとし、「週末を返上して対処してくれるかによって、リーダーシップの善しあしが分かる」と話す。
また1993年秋、ニューヨーク市長に就任したとき、彼には2つの課題があったという話もした。それは犯罪と財政赤字だった。
検察畑を歩んだ彼にとって、犯罪への対処はともかく、市財政の建て直しは未知の仕事だったが、「自分ですべて答えを出さなくともいい。チームをつくり、弱点を補ってくれるスタッフを配置した」という。
リーダーにとっては、常に解決策を模索しようという楽観主義と、万全の準備を怠らないことが必要だとしながらも、「9.11は想像を絶するレベルだった」と振り返る。
「病院、航空管制、予備役の動員……、次々と未知に対して手を打たねばならず、そのためにはコミュニケーションが重要だった」とジュリアーニ氏。
ゴヤール氏によれば、わずか10分の予定だったジュリアーニ氏のスピーチだが、大幅に時間は超過した。彼は、不測の事態への対処や、その際にはコミュニケーションが不可欠になるという教訓を聴衆に強く印象付けた。
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[浅井英二,ITmedia]