エンタープライズ:ニュース 2003/01/29 06:31:00 更新


「人と人のコラボレーションで生産性をさらに高めたい」とIBM Lotus部門の新GM

Lotusphere 2003の2日目午前、Lotus部門の新GM、ゴヤール氏がインターナショナルプレスの共同インタビューに応じた。「Lotus製品では、人と人のコラボレーションを可能にし、さらに顧客の生産性を高められる」と抱負を話した。また、彼の初仕事ともいえる「Next Gen」戦略は、次なる成長に欠かせないことも強調した。

 フロリダ州オーランドで開催中の「Lotusphere 2003」カンファレンスは、1月初めにIBMソフトウェアグループLotus部門のGMに就任したアンブッシュ・ゴヤール氏のお披露目でもある。1月27日に行われたオープニングのゼネラルセッションでは、「型にはめられるのは好きではない。新しい市場の開拓に取り組みたい」と話している。

 ゴヤール氏は、1982年にIBMワトソン研究所の研究員として入社、DB2やWebSphereの基盤となる技術の研究開発に携わった。Lotus、WebSphere、DB2、そしてTivoliというミドルウェア4ブランドのインテグレーションをオープンスタンダードベースで推進するIBMらしい人選といえる。昨年までは、同じIBMソフトウェアグループでソリューション&戦略部門のGMを務めていた。

 2日目の1月28日午前、インターナショナルプレス向けの共同インタビューが行われ、ゴヤール氏は「(ソリューション&戦略部門で)ビジネスプロセスのインテグレーションなどを担当していた。Lotus製品では、人と人のコラボレーションを可能にし、さらに顧客の生産性を高められる」と抱負を話した。

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共同インタビューに応じるゴヤール新GM


 IBMによる指摘を待たずとも、ビジネスはこれまでにない新しい「オンデマンド」の世界に進もうとしている。顧客やパートナーらは、もはや過去の取引関係に縛られず、なおかつ迅速な意思決定を求めている。こうした世界でしのぎを削る顧客企業を支援すべく、IBMは全社を挙げて「e-ビジネス・オンデマンド」構想に取り組んでいる。

 そうした中、IBMソフトウェアグループのLotus部門は、「人」というエレメントにフォーカスする。

 ゴヤール氏は「(外部環境の変化や顧客の要望などに応じるために発生する)オンデマンドの仕事をビジネスプロセスに統合することによって、今日行うべきことから製品設計まで、さまざまな仕事の効率を高めることができる」と話す。

 初仕事として、彼が顧客やパートナーらにオープニングセッションで披露した「Next Gen」環境は、Notes/Dominoのコラボレーション機能をJ2EEやWebサービスといったオープンスタンダードベースで提供していくものだ。これなら、SCMのプロセスにコラボレーション機能を組み込みたいという顧客らのニーズにもこたえられる。

 既に顧客企業にJ2EEやWebサービスといったインフラやスキルがあれば、必要とするコラボレーション機能のコンポーネントやサービスを追加していくだけだ。

「コンポーネントを統合していくのがWebサービス。統合のくさびであり、心臓となるものだ」(アンブッシュ氏)

 IBMは、J2EEやWebサービスの標準確立では主導的な役割を演じている。ビジネスプロセス分野しかり、セキュリティ分野もしかりだ。

 オープンスタンダードベースのNext Gen環境によって、コラボレーション機能を業界志向のソリューションとして仕立てあげることもできる。アンブッシュ氏は、シーベル・システムズがIBM Lotus部門のコンポーネントを自社のソリューションに組み込んでいくことも紹介した。

Next Genは次なる成長に不可欠

 コンポーネント化は、インテグレーションだけでなく、今必要な機能だけをローコストで配備したいという顧客企業のニーズにもこたえるものだ。アンブッシュ氏が「まだ名前が決まっていない」というNext Gen Mailがその代表といえる。

 Notes/Dominoは歴史的にも、プロフェッショナルと呼ばれる知的労働者や、出張の多い経営層をターゲットに開発・販売されてきた。毎日、何十、何百という電子メールを受け取る彼らは、デスクトップPCやノートブックPCがなければ仕事が進まない。

 しかし、流通や製造という業種では、デスクを持たない現場スタッフが、さらに何倍、何十倍も存在する。

「これまでリッチクライアントしかなかったため、そうしたユーザーにも配備するにはコスト的に見合わなかった」とアンブッシュ氏。

 インド系の彼らしく、「例えば、インドのような国では、フルのコラボレーションスイートを購入できるようになるまで待つのではなく、メールという1つの機能から低コストで始められるアプローチが取れる」と説明してくれた。既にJ2EEベースのミドルウェアが導入されている顧客企業であれば、導入コストはさらに引き下げられる。

 IBM Lotus部門のNext Gen戦略は、次なる成長のためには欠かせないとアンブッシュ氏は話す。コラボレーションの機能をさまざまなビジネスプロセスに組み込めるようにするとともに、ユーザーのすそ野も大きく拡大するものだからだ。

「Lotus Messaging Server」という仮称もあるNext Gen Mailだが、まだ幾つかの候補があり、製品をよく反映した名称をレビュー中だという。Next Gen Mailは、第2四半期に登場する。

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[浅井英二,ITmedia]