エンタープライズ:ニュース 2003/02/12 21:34:00 更新


富士通とコグノス、ビジネスインテリジェンス分野で提携

富士通とコグノスは、ビジネスインテリジェンス分野で提携すると発表した。

 富士通とコグノスは2月12日、都内で記者発表会を行い、両社がビジネスインテリジェンス(BI)分野で提携すると発表した。両社は、富士通のSymfowareとコグノスのPowerPlayを統合した製品の開発や、国内での共同販売、共同サポートやサービス体制などを構築する。今後3年間で4000サイト、200〜250億円の売り上げを目標としている。

 BIとは、企業の生産部門や、調達、物流、販売、マーケティングといった各部門が構成する業務プロセスから、売り上げ実績や成長率、シェアなどの経営データを抽出してデータウェアハウスに格納し、それを各指標などを考慮しながら、経営戦略の立案に役立つ情報に加工していく経営手法。一言で言うなら、「洪水のように押し寄せるビジネスデータの中から真実を見つけ出す活動」といった表現になる。

 カナダのオタワを本拠地にするコグノスは、BI分野では世界的に見てもリーダー的な存在だ。

 富士通のソフトウェア事業本部、ミドルウェアソリューション事業部長を務める盛本一成氏は、「ROLAP技術による柔軟な分析視点を特徴とするSymfoware Navigatorと、分析の高速性を特徴とするMOLAP技術のPowerPlayを統合することで、スケーラビリティ、柔軟性、高速性を備えたハイブリッドなOLAPを実現できる」と話す。また、ソフトウェア事業本部長の棚倉由行氏は「両社ともに、技術重視の企業文化を持つことも提携に踏み切る決め手になった」としている。

 一方、来日したコグノスインコーポレイテッドのジャック・トーマス副社長は、同社が無借金経営で3億3800万ドルのキャッシュを保有しているとして、財務基盤の健全性をアピールした。さらに、日本法人で社長を務める田上一巳氏は、企業が競争優位性を獲得するための「次のステップ」に到達する手段として、ビジネスパフォーマンスを監視・管理する方法論や基準を示すビジョン「CPM(コーポレート・パフォーマンス・マネジメント)」を、富士通とともに共有していくと話した。

 両社は、大企業向けに両社の統合製品を2003年の第1、2四半期を目処にリリースする。価格や製品名は未定。今後は、日本市場からグローバル市場へのビジネス拡大を目指す一方、共同開発範囲の一層の拡大を検討しているという。

用語(両社の定義による)

  • OLAP エンドユーザーがデータベースを直接、検索、集計して、問題点や解決策を発見する分析型アプリケーションの概念。
  • MOLAP(Multi-dimensional OLAP) 専用の多次元データベースにあらかじめデータウェアハウスから作成したサマリ情報を格納し、高速に分析行うOLAP。
  • ROLAP(Relational OLAP)リレーショナルデータベースを直接検索し、結果を多次元の軸に基づいて表示する機能を持つOLAP。
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[怒賀新也,ITmedia]