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企業の経営を航海にたとえると、BIはそのために欠かせない「羅針盤」だ。そのリーダーであるコグノスは、業績管理に向けた全社的なアプローチである「Corporate Performance Management」(CPM)というコンセプトを掲げ、新たな展開を見せようとしている。

カナダの首都、オンタリオ州オタワに本社を置くコグノスは、ビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションのリーディングベンダーだ。同社では、企業の経営を航海にたとえ、BIはそのために欠かせない「羅針盤」だという。レポーティングや分析のためのさまざまな製品群を用意する同社だが、最近、「Corporate Performance Management」(CPM)というコンセプトを掲げ、新たな展開を見せようとしている。コグノスの田上一巳社長に話を聞いた。

田上 ビジネスインテリジェンス(BI)という市場が黎明期を脱して、いわゆる大企業のほとんどには導入されてきました。また、かつては経営戦略を立案するひと握りのスタッフがユーザーであったのにすぎませんでしたが、ボーイングやGEにように全社導入するコグノスの顧客も現れています。

ZDNet 国内市場はどうでしたか?

田上 日本の企業でも「KPI」(業績評価指標:Key Performance Indicators)を利用した経営手法が知られ始めており、追い風になりました。日産自動車にカルロス・ゴーン氏が乗り込んできたとき、最初に行ったことが、従業員の数を調べることだったといいます。多くの人は、「何だ、そんなこと」と考えたのですが、実際に企業にはさまざまな人が関わっています。契約社員、外部協力会社の社員など、複雑です。このことひとつを例にとっても、やはり、戦略的な数値を設定して、経営を進めていくことが必要なんです。

ZDNet コグノスは、単なるBIツールだけではなく、業績管理に向けた全社的なアプローチを提唱しています。これについて教えてください。

田上 例えば、ある宣伝活動が企業全体の業績向上にどう結びついたかを管理していこうということです。企業のプロセスは、計画立案から始まり、予算編成、実施、レポーティング、分析があり、それらが好循環を繰り返していくのが理想です。それが社内の至るところで行われ、全社的な業績向上は、社員一人ひとりの意思決定の積み重ねです。全社的なビジネス戦略に基づいて設定されたKPIを見ながら、モノを考え、その中でBIが威力を発揮していきます。

 こうした概念をガートナーは「Corporate Performance Management」(CPM)と定義しており、コグノスはその啓蒙にも務めています。これまでBIというと何か特殊なもののように考えられていましたが、例えば、ジャック・ウェルチ前GE会長は、「社長の意思決定もあるが、課長のそれもある」と話しています。BIが経営企画室のブレーンだけのものではいけません。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]


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