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トータルセキュリティを武器に複合型脅威へ立ち向かう
ネットワークのトータルセキュリティ対策は、企業にとっていまや当たり前の時代だ。そのソリューションを提供するシマンテック 成田明彦代表取締役社長が語る、2003年におけるセキュリティ対策の動向とは。

 2001年、そして2002年とコンピュータウイルスによる被害が大きくクローズアップされ、個人、企業ともにセキュリティへの関心が高まっている。対策を講じてもすぐに現れる亜種あるいは複合型のウイルスによる被害が数多く報告される一方、サイバーテロなど新たな脅威への備えも必要とされ、ますますセキュリティへの取り組みは重要な課題となっている。ウイルス対策ソリューション企業の雄であるシマンテックの成田明彦代表取締役社長に、セキュリティ対策という面から2003年の動向を聞いた。

ZDNet セキュリティ業界の2002年は多忙な一年だったのではないでしょうか?

成田 情報セキュリティという分野において、2002年は新しい幕開けの年だったのではないかと考えています。その背景では2001年9月11日の世界同時多発テロが大きな要因になっていますし、また2001年の夏以降に猛威をふるったNimdaやCodeRedといった新たなタイプの脅威が出現したことによって、情報セキュリティに対する人々の基本的な考え方が変わってきたからだといえるでしょう。これによって、個人も含めた企業のセキュリティに対する関心が非常に高まり、それに対応するという流れの幕開け、それが2002年だったのではと感じています。

 コンシューマ向けでは、ちょうど2001年の10月から12月ごろにかけて、業界全体でアンチウイルスソフトが爆発的に売れました。これは、凶悪なNIMDAやCodeRedなどに対してユーザーの方々が対策をされたという結果でした。われわれはこれが一時的なもので終わるのでは、と予想していたのですが、その動きは2002年になっても収まりませんでした。2001年比で売上は2倍にまで上がり、市場としては大幅に拡大したといえます。

 企業ユーザーによるウイルス対策を含めたセキュリティ対策は、この不況の中でITへの投資も減少しつつあるのですが、引き続き2001年度を大幅に上回る投資をいただきました。この背景には、ウイルス対策をしましたとかファイアウォールを入れましたといった、従来のポイント対策ではもう間に合わないということがあります。トータルセキュリティソリューションという考え方が、企業の間にも受け入れられた年だということができます。

 セキュリティ対策を積極的に行わなければならないということ自体は不幸な現象ですが、これを事実として受け入れ、いかに安全なインターネット環境を提供できるかということにわれわれは注力しております。

ZDNet 不安な時代になったものですね。

成田 いまから数年前、インターネットというインフラが普及していない時代には、業界全体でもセキュリティというものがビジネスとして成り立たなかったわけです。それが、ITのあり方の変化によって新しく生まれたビジネスになり、いまではインターネットなくしては生活が成り立たないという状況にもなりつつあります。このような、常に新しいことが起こる市場への取り組みということで、非常にチャレンジのしがいがあるビジネスだと考えています。

ZDNet 買収などで製品のポートフォリオ拡大を図ってきた理由は?

成田 1999年から、われわれはセキュリティというマーケットにシフトした事業展開をしてきました。そのために昨年も数社を買収し、顧客に満足してもらえるトータルソリューションのための商品提供を目指しています。

 しかし、それらを統合した単一のソリューションとしてきちんと提供することが重要です。従来のように、単に他の会社を買収してその製品を販売するということではなく、それぞれのテクノロジーをインテグレーションし、それを反映した製品作りをしなければいけないと考えています。たとえばわれわれの「Symantec Gateway Security」というアプライアンス製品などは、その例と言えるでしょう。

ZDNet トータル性を備えることで、セキュリティ対策が面倒と感じるユーザーにも手を煩わせないソリューションを提供できる、ということですね?

成田 そういった面で、セキュリティ対策のアウトソーシングを受けるといったサービスも提供できる体制ができています。単なる製品のポートフォリオで「トータル」をうたうのではなく、こういったサービスまでも含めたソリューションの提供が、この分野では重要になっていくのではないでしょうか。

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[聞き手:柿沼雄一郎、高橋睦美,ITmedia]


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