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オープンミッションクリティカルソリューションで、オープン製品の「料理人」になると2002年の正月に話してくれたNECソリューションズの川村副社長。2003年も同じく力を入れ、事業としてさらなる発展を図る。NECは、ブロードバンドネットワークでつながり合う情報システムを、日本の社会インフラに育てるという。川村氏に、NECの2003年の戦略について聞いた。

 2002年もIT業界にとって厳しい年となったが、各企業とも事業の再構築を継続的に行った。中でもNECは2001年に「オープンミッションクリティカルソリューション」(OMCS)を立ち上げ、本格的な始動を果たした。2002年と同様に、NECソリューションズの川村敏郎副社長に同社の2003年の戦略を聞いた。昨年は、NECがオープン環境で最良の製品を組み合わせる「料理人」になると話してくれた同氏は、OCMSを事業としてさらに拡大発展させる年として2003年を位置付けている。

ZDNet NECにとって2002年はどんな年でしたか。

川村 2002年は、三井住友銀行のシステム統合を完了させ、OMCSの素晴らしさを実証することができました。都市銀行のシステムとして、勘定系のシステムをオープンなサーバ環境で構築したのは画期的なことでした。UFJ銀行とみずほ銀行がシステム統合を先延ばしするなど、同業他社が苦労している中でハブサーバによる統合を実現したのです。また、NTTドコモの次期i-モードサービスのシステムも12月に稼働させ、全体として大きく飛躍した年になりました。

ZDNet 5月にシステムインテグレーション(SI)分野で、12月にはアウトソーシングの分野でヒューレット・パッカード(HP)と提携しました。

川村 SIおよびアウトソーシングともに、HPにはOMCSを高く評価してもらいました。コンパックコンピュータと統合して、世界のIT企業の中でも中心的な存在となったHPから高い評価を受けたのは嬉しいことです。

ZDNet 2002年は新しいプラットフォーム構想も発表されました。

川村 2002年の10月に、ハブアンドネットのモデルを実現するプラットフォームコンセプト「VALUMO」(バルモ)を提唱しました。これは、システムの自律運用や分散コンピューティング、ベストオブブリードの製品を提供するためのベンダーとの協調関係、ハードウェアやソフトウェア資源を仮想化することなどを特徴としています。

ZDNet 2003年の戦略は?

川村 2003年は、OMCSをNECソリューションズの柱となる事業として、数倍に拡大させたい。対象業種もこれまでの通信業や金融だけでなく、製造業や流通業、サービス業、電子政府、電子自治体など、すべての業種に広め、大規模企業から中小規模の顧客をカバーしていく考えです。

そして、今後OCMSが実現するシステムでは、コンピュータがブロードバンドネットワークでつながるようになります。NECはこれを「ハブアンドネット」と呼んでいます。例えば、製品を生産するときの部品を、ネットワークを通じたサプライチェーン上で調達し、販売も行う。さらに、決済もネットワークを通じてリアルタイムに完了させるといった形で、処理の連鎖が起こってくるのです。この連鎖は将来的には社会インフラ化していくものと考えています。

今後、企業の生産拠点が中国に移行したとしても、OCMSによるネットワークを利用して、海を越えてビジネスを展開することができるのです。

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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]


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