エンタープライズ:ニュース 2003/02/14 19:12:00 更新


「管理能力が間に合わなくなる前にライフサイクル管理を」とストレージテック社長

日本ストレージ・テクノロジーは2月14日、2003年の戦略に関する説明会を開催し、引き続きインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントの実現に向けて取り組んでいく方針を明らかにした。

「このまま行けば、ストレージ管理に要するコスト、つまりTCOが、ストレージハードウェアのコストを上回る一方になる。私が試算したところでは、日本だけでも、あと3年以内に15万5000人ものデータ管理者がいなければ、間に合わない計算だ。これをもっと効率的に行いたければ、管理能力が間に合わなくなる前に、データ管理の方法を変えていく必要がある」――日本ストレージ・テクノロジー(ストレージテック)の代表取締役社長、ジョン・S・スクロッポ氏は、企業ストレージシステムを取り巻く根本的な問題点をこのように指摘する。

 スクロッポ氏が、そしてストレージ・テクノロジーが提案する解決策が、インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント(ILM)という考え方だ。

 データや情報は、作成されてからの時間や性質に応じて、アクセスされる頻度や傾向が異なる。にもかかわらず、格納する媒体として「オンラインのディスクか、オフラインのテープか」の二者択一しかないのはナンセンスだ。必ずしもすべてのデータを、高価なディスクシステムに保存する必要はないからだ。

 そこで、例えば作成されたばかりでアクセス頻度が高いときにはオンラインディスクへ、やや落ち着いてきたら比較的安価なディスクストレージやニアラインのテープへ、もうほとんど参照されることもなくなればアーカイブ用のテープへという具合に、データのライフサイクルの各ステップに応じて、適切な媒体で管理することにより、「コストや人件費を削減し、全体で50%から90%のコストを省くことができる」(スクロッポ氏)という。

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 同社はこのILMという概念を実現するべく、着々と製品ラインナップを整備してきた。仮想ディスクシステム「V2X SVA」やディスクサブシステムの「Dシリーズ」、各種テープライブラリ群に加え、2002年にはニアラインとオンラインの間を埋めるべく、ブレード型の新製品「BladeStore」を投入している。

 2003年も、取り組みの手をゆるめるつもりはないという。オープンシステム向け機能を強化したSVAの新製品や、ディスク容量を拡張したBladeStoreの新モデル、あるいはまったくの新製品などを含め、20前後の製品を発表する計画だ。

 ソフトウェア製品の強化も進める。特に第2四半期には、ネットワーク上を流れるストレージをすべてキャプチャし、すばやいバックアップとリカバリを可能にする「EchoView」のリリースが予定されている。

 並行して、引き続きサービスビジネスの拡大にも取り組んでいく。「オートメーションやインテリジェントなデータ管理を通じて、ストレージ運用管理を効率化し、全体のコストを削減できるよう顧客を支援していく。これによって、ILMの効果を実感してもらえるはずだ」(スクロッポ氏)。

 同氏はさらに、他のストレージベンダーの場合、担当者は自社製品に特化した知識しか持たないことが多いが、「ストレージ・テクノロジーでは、プリセールスでもサービスでも、ほぼすべてのベンダーの製品に対応できる人材を揃えている。今後はさらに、SNIAが進めるSAN認定の取得者を増やしていく」と述べた。また、先日発表したSAPジャパンとの提携を踏まえ、東京コンピテンスセンターのテスト環境の拡充を図り、「もっとアプリケーションやデータベースに近づいた形でテストできる環境を作っていく」(同氏)という。

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[高橋睦美,ITmedia]