エンタープライズ:インタビュー 2003/03/06 04:35:00 更新


Interview:Workshopという強力な武器を手に入れたWebLogic Integration

「BEA eWorld 2003」では、BEA WebLogic Platform 8.1が発表され、新しいWorkshopにスポットライトが当てられた。カスタムロジックもインテグレーションも同じマナーで開発を進められるようになったBEA WebLogic Platform 8.1について、プロダクトマーケティングのシニアディレクター、ピーター・リンキン氏に話を聞いた。

「Converge」(収れん)をテーマに掲げ、フロリダ州オーランドで行われた「BEA eWorld 2003」では、BEA WebLogic Platform 8.1が発表され、新しいWorkshopにスポットライトが当てられた。BEAシステムズは、現行の7.0でWebLogic IntegrationやWebLogic PortalといったランタイムコンポーネントをWebLogic Server上に統合したが、8.1ではさらに、新しいWorkshopによって開発環境も統合した。カスタムロジックもインテグレーションも同じマナーで開発を進められるようになったBEA WebLogic Platform 8.1について、プロダクトマーケティングのシニアディレクター、ピーター・リンキン氏に話を聞いた。

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かつてはEAIベンダーのビトリアでプロダクトマーケティングを担当したというリンキン氏。業界のトレンドを象徴している


ZDNet 今回のBEA eWorldで発表されたBEA WebLogic Platform 8.1は、インテグレーションやワークフローの機能が強化されました。ピュアなEAI(Enterprise Application Integration)製品とどの部分が競合するのでしょうか? あるいは、8.1ではそれらと全く異なる新しい分野を狙っているのでしょうか?

リンキン 1年前のeWorldカンファレンスに話を戻しましょう。われわれは、カリフォルニア州サンディエゴのeWorldでWebLogic Platform 7.0を発表しました。これが、WebLogic Server、WebLogic Integration、WebLogic Portal、そしてWebLogic Workshopを統合した最初の製品となりました。

 しかし、WebLogic Integrationは、単体としても売られ、ウェブメソッドやティブコ、あるいはシービヨンドといったEAIベンダーの製品として十分対抗し得るものです。

 彼らのインテグレーションスタックというのは、下から言うと、「アダプタ」「トランスフォーメーション」「メッセージング」「BPM」(Business Process Management)「ワークフロー」、そして「B2B」の各レイヤになります。われわれのWebLogic Integrationもそれは同じです。

 しかし、彼らのEAI製品と異なるのは、われわれのインテグレーションスタックは、WebLogic Server上に搭載されており、それゆえ、アプリケーションロジックと緊密に連携できるということです。EAIとアプリケーションサーバが独立していると、そのあいだをつなぐ必要があり、とてもリスキーです。

 これらは既に現行の7.0で実現されており、われわれが優位に立っています。

ZDNet 8.1ではどうなったのでしょう?

リンキン 8.1では、それまでWebサービスの開発環境だったWebLogic Workshopが、すべてのコンポーネントをカバーするようになりました。同じデベロッパーが、カスタムロジックだけでなく、インテグレーションやポータルの開発も慣れ親しんだマナーで開発できるのです。

 Workshopは、コントロールを簡単に利用できる開発環境です。例えば、バックエンドのSAPとインテグレーションしたい場合、SAPに接続するコントロールをドラッグ&ドロップすればよく、ローレベルの複雑さを気にすることなく、開発が進められます。インテグレーションに特化したスキルを習得する必要がありません。

 このほか、トランスフォーメーションやワークフローといったレイヤもすべてWorkshopからビジュアルに扱えるようになっています。線を引っ張って異なるスキーマー同士をマッピングしたり、人がかかわる、例えば承認のワークフローなどもそうです。WebLogic Serverと統合されているので、JSPを使った簡単にユーザーに情報を見せることもできます。ピュアなEAI製品では難しいでしょう。B2Bもアダプタと同じです。ターゲットとソースがあってドラッグ&ドロップで開発を進められます。

 われわれの製品は、競合の2年先を行っていると思います。単体でも豊富な機能があるうえ、WebLogic Serverと統合されています。さらに、8.1からは同じ環境で開発が進められます。

ZDNet Workshopは、Java向けにワークフローの定義を行う機能を備えていると思いますが、業界にはBPEL4WSやWSCIのような言語に依存しない定義言語もあります。それらをインプリメントするツールとのやり取りは行えるのでしょうか?

リンキン ワークフローにはたくさん標準が存在します。われわれはJavaによる開発に高い生産性をもたらすツールとしてWorkshopを提供しようとしています。たくさんの標準を完全にマージしていくことが必ずしも最適解ではありません。そこでインポートとエクスポートをサポートしていきます。

 もちろん、ワークフロー機能を提供している既存のベンダー、例えば、ドキュメンタムとは良い関係を築いており、Workshop用のコントロールがつくられています。

ZDNet スコット・ディッゼンCTOのテクニカルキーノートでは、今後はさらに上位のビジネスアナリスト向けのツールも提供することが紹介されました。それはどのようなものになるのでしょうか?

リンキン ビジネスの人たちは−−彼らがソフトウェア購入のスポンサーなのですが−−一般的に言ってソフトウェアのことがよく分からず、しばじは「そんなに複雑なソフトウェアが必要なのか?」と疑問に思っているはずです。彼らは、自分たちが理解できるものを欲しがります。会社の中で今何が起こっているのか、グラフ入りのレポートによってリアルタイムに把握できることを必要としています。

ZDNet それは、ERPから導き出されるKPI(主要業績指標)のようなレポートですか、あるいは、あるワークフローでどれくらいの時間がかかっているのかといったレポートですか。

リンキン 後者のようなローレベルのものは既に提供されています。次に取り組むのは、KPIに近いようなものになります。リアルタイムで会社の状況を把握し、問題があれば、ドリルダウンしてプロセスビューが見られるようにします。業界では「BAM」(Business Activity Monitoring)と呼ばれている分野です。そのための新しいスタックを開発し、統合していくことも考えられます。



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[聞き手:浅井英二,ITmedia]