エンタープライズ:ニュース 2003/03/11 21:03:00 更新


パートナーと高度なメッセージングソリューションを売り込むセンドメール

先に日本法人設立を発表したセンドメールが、一連の高度なメッセージングソリューションを打ち出し、国内市場でも積極的な事業展開を開始した。小島社長は、パートナーが得意とする製品やソリューションと組み合わせて販売していきたいとしている。

 2月26日に日本法人の設立を発表したセンドメールが、メールの複製保存機能「Message Copier」を核とした「メール・ストレージ・ソリューション」を3月11日に発表した。

 カリフォルニア州エメリビルに本社を置くセンドメールは、MTA(Mail Transfer Agent:メール配送エージェント)である「sendmail」の開発者、エリック・オールマン氏らによって1998年に設立された。インターネットメッセージングソリューションのリーディングベンダーであり、企業ではインターネットと社内のメールサーバ、例えば、Notes/DominoやExchangeをつなぐソリューションとして知られている。

 sendmail自体は、現在もオープンソースとして公開されているが、センドメールではそれを基盤とし、管理機能、セキュリティ機能、コンテントマネジメント機能からなる「Sendmail Switch」やPOP/IMAP対応のメッセージストアである「Advanced Message Server」などを製品として開発しており、それらを組み合わせたメッセージングソリューションとして顧客に販売している。こうした「商用版」に対するオープンソース版sendmailの占める割合は、わずか20%足らずという。

 3月11日に発表されたメール・ストレージ・ソリューションも、商用版の豊富な付加機能の1つであるコンテントマネジメント・プラグインのMessage Copierを特にフィーチャーしたものだ。社員が送受信するメールを自動的にコピーして保存する機能は、メール情報が企業の重要な行動記録であることから、その重要性が認識されている。ちなみに、米国の金融機関では3年間のすべてのメールを保存することが義務付けられており、昨年末にはその義務を怠った証券会社5社がSEC(米証券取引委員会)から825万ドルもの罰金を課されている。

 日本法人設立と同時に社長に就任した小島国照氏は、特に日本市場では、パートナーが得意とする製品やソリューションと組み合わせて販売していきたいとしている。電子メールは、その重要度が高まるにつれ、そのシステムも大規模かつ複雑になっていることもあり、国内のパートナー企業としては、NECソフト、東芝ITソリューション、日立ソフトウェアエンジニアリング、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリといったシステムソリューションプロバイダーに絞っている。

「MTAは、インターネット上のOSのような存在。例えば、サードパーティーのウイルス対策ソフトウェアと組み合わせ、処理性能が高く、しかも一元的に管理できるソリューションとして提供していきたい」と小島氏。

 スパム対策のためにメールトラフィックを制御する「Mail Flow Filter」プラグインもあるが、実際にはキーワードによるスパムメールのシャットアウトにも限界があるため、米国では自然言語解析技術を持つベンダーの協力を得て、より精度の高いスパム対策ソリューションを開発中という。

 また、サーバサイドでメールを振り分ける「Intelligent Inbox」プラグインでは、「Sieve」と呼ばれるメールフィルタリング用のスクリプト言語をサポートしているが、これをさらにエンドユーザーが使いやすくするためには、パートナーとの協業が必要だ。

 現在、同社の販売パートナーは、前出の4社のほか、エイ・エヌ・テイ、ニスコム、ネットワールドを加えた7社。小島氏によれば、追加があったとしても「あと1〜2社」という。高度な電子メールソリューションをパートナーと共同に顧客に提供していくには、それでも多すぎるくらい、と小島氏は話す。

 同社では、メール・ストレージ・ソリューションに続き、近く「メール・セキュリティ・ソリューション」の発表も計画している。

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[浅井英二,ITmedia]