エンタープライズ:ニュース 2003/04/02 21:40:00 更新


「企業にとって情報は血液」と日本ストレージ・テクノロジーのスクロッポ社長

2003年、設立25周年を迎えた日本ストレージ・テクノロジーだが、同社社長を務めるジョン・エス・スクロッポ氏は、設立当時と現在とでは、データの利用方法にもその重みにも大きな違いがあるという。

 今年、日本法人設立25周年を迎えた日本ストレージ・テクノロジー(ストレージテック)。同社代表取締役社長のジョン・エス・スクロッポ氏は、「その当時はどんなに大規模な企業でも、情報はすべて紙などを用いてやり取りしており、電子データに頼ることはほとんどなかった。データを収納するとしても、それはただデータを置いておくだけの“ストレージ”に過ぎなかった」と振り返る。その後、徐々にOA化が進展し、ディスクを用いたバックアップがなされるようになっても、基本的にはストレージに“入れっぱなし”という状況だった。

 だが、現在ではまるで状況が違う。「今や企業は、顧客情報や購買情報、金融データ、さらにサプライチェーンやパートナーとの間で大量の情報をやり取りしている。企業にとって情報は血液のように大事なものだ」(スクロッポ氏)。

 その使い方にも変化が現われていると同氏は指摘する。例えば数年前までは、販売予測などを立てるにも、担当者が個々にExcelなどの表計算ソフトを用いて作業するのが常だった。それが最近では、蓄積されたさまざまなデータを高度に活用し、今後の予測に役立てるようになっている。つまり、「この先企業としてどのように動いていくか、その見通しを立てるために情報を活用するようになった」とスクロッポ氏は言う。

 これほど大事なデータを保護し、効果的に活用していくために必要なこととは何だろうか。同社ではその答えとして、インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント(ILM)という概念を提唱している。データが生成されてから、変更・参照され、アーカイブとなり、さらには消失するまでの各ステップに合わせ、それぞれ最適な手段で管理していくというアプローチである。

 逆に言えば現時点では、それができていないからこそ、データやディスクが有効に活用されず、結果として運用コストを押し上げているという。

 ILM実現に向けた大きな武器が、同社が昨年リリースした「BladeStore」だ。ATAディスクの採用によりコストを下げ、しかもパフォーマンスに優れることから、既存のディスクやテープといった機器では埋められなかったニーズに応える。「まさにスイートスポットだ」とスクロッポ氏は言う。

 TCO削減の観点から、もう1つのポイントとなるのが自動化だ。損害が発生した場合のリカバリを助け、ソフトウェア自身がインテリジェントに判断を下し、処理をより高速なリソースに振り分けるようポリシーを適用するといった作業を自動的に実現することで、少ないITスタッフでも適切に運用・管理を行えるようにする。そんなアプローチが求められることになる。

 ただ、ストレージテックはもちろん、それ以外の多くのストレージ関連企業でも自動化の実現を謳っているが、「現実にはなかなかうまく行っていない。自動化、自動化といいながらも、データの管理および分析にはやはり多くの人手が必要になっている」とスクロッポ氏は述べる。

 これと表裏一体となるのが、アプリケーションに適した形で判断を下すインテリジェント化だ。誰がどのくらいの頻度でどのデータにアクセスしているかといったトレンドを分析することにより、アプリケーションに合わせた今後の予測が可能になる。これに基づき、ポリシーベースでデータ管理を行うことで、ユーザーが本当に必要としているサービスやアプリケーションを実現できるとスクロッポ氏は述べている。

「われわれは、例えばSAPのソフトウェアを作っているわけではない。しかし、これらアプリケーションをよりよく動作させることならばできる」(同氏)。

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[高橋睦美,ITmedia]