エンタープライズ:インタビュー 2003/04/11 14:35:00 更新


Interview:Itanium、Xeon、Centrinoの組み合わせがビジネスをさらに効率化する

インテルでエンタープライズ分野を統括するフィスター氏がIntel Developer Forumのために来日した。Itaniumの勢いが継続していることをアピールしたほか、先ごろ発表されたCentrinoについても触れ、クライアント、サーバ、およびネットワークの領域でインテルが推進する最新技術を導入すれば、企業はさらにそのビジネスプロセスを効率化できると話した。

4月9日から千葉・舞浜で「Intel Developer Forum Japan 2003 Spring」が開催され、上席副社長兼エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長を務めるマイク・フィスター氏も2日目の基調講演に登場した。Itaniumプロセッサファミリーは着実にエンタープライズコンピューティング領域に根付き始めており、NECや富士通といった国産コンピュータメーカーもIAサーバの製品ライン拡大に取り組んでいる。エンタープライズ分野を統括するフィスター氏に話を聞いた。

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「まだまだやることはたくさんある」とフィスター氏


ZDNet 64ビットのItaniumプロセッサファミリーがずいぶん浸透してきました。スケーラビリティの面でも、Itanium 2を32CPU搭載したNEC Express5800サーバがUNIXシステムを上回るTPC-Cベンチマーク記録を公表していますね。

フィスター Itaniumファミリーはエンタープライズ領域に浸透を続けています。OEMから出荷される搭載システムも、それぞれのカテゴリーで倍増しています。300以上のアプリケーションがリリースされ、毎週、Itaniumをテスト導入する企業が増えています。

ZDNet さらにミッションクリティカルな領域にItaniumファミリーを浸透させるには、どのようなアプリケーションが必要でしょうか?

フィスター これ1つ、というキラーアプリはありません。われわれが先ず念頭に置いて始めたのは、大規模なデータベースの構築向けでした。アプリケーションとしては、CRM、意思決定支援システム、あるいはビジネスインテリジェンスといった分野になります。SAP、Oracle、IBM、そしてBEAシステムズのような大手ソフトウェアベンダーとの良い関係も築いてきました。

 米国のイベントでは、彼らが一堂に会したラウンドテーブルを開催しています。彼らは(IA64への)移植の経験を誇りを持って語ってくれました。また、顧客からのニーズにも勢いがあり、彼らも手ごたえを感じているということでした。

 マイクロソフトは出席をしていませんでしたが、先ごろ、Windows Server 2003の最終コードが製造工程に回されました。

ZDNet IA64ではLinuxが先行し、また、Windowsの出荷が遅れたこともあって、われわれも忘れがちですが、Windows Server 2003のリリースは、Itaniumに弾みをつけることになるのでしょうか。

フィスター 大きなインパクトがあると考えています。多くのアプリケーションがWindowsに依存しているからです。また、Linuxに比べ、機能も豊富で製品も成熟しています。成熟度ではUNIX、Windows、Linuxという順序でしょうか。WindowsがUNIXを追い上げ、Linuxもその成熟度を高めつつあります。

 デルコンピュータのようにレガシーUNIXを持たないコンピュータメーカーも幾つかあります。彼らは売り上げの多くの部分をWindowsに依存しています。HP-UXを持つ新生ヒューレット・パッカードも旧コンパックのIAサーバ製品ラインは同じです。

ZDNet エンタープライズ向けのビジネスは順調のようですね、満足していますか?

フィスター 企業はIAサーバの優れたコストパフォーマンスに魅力を感じてくれています。IT支出を最大限に生かせるからです。ただ、「満足」という言葉が適切かどうか……。やるべきことはたくさんあります。データセンターのミッドティアからバックエンドという領域には、まだまだ浸透の余地があります。

 IA64だけでなく、IA32も組み合わせたソリューションを生み出していきます。ITプロフェッショナルの人たちには、彼らのユーザーである企業の生産性をさらに高めていくことが求められています。IA32のXeonファミリーでは、デュアルプロセッサ製品とマルチプロセッサ製品どちらもキャッシュを増やし、90ナノメータープロセスを導入していきます(編集部注:コードネームでNocona、Potmacとそれぞれ呼ばれている)。

ZDNet Windowsは、PC市場を爆発的に拡大することで、その価格を引き下げることに成功しました。しかし、UNIXシステムは依然として高価で、サーバ分野ではそうしたことが起こっていません。

フィスター 多くのコンピュータメーカーは、8あるいは16CPU以上のハイエンドなSMPサーバとしてRISCベースのUNIXシステムを温存し、2〜4CPUといった領域ではIAサーバを販売しています。あのサン・マイクロシステムズでさえ、そうです。

 しかし、とんでもないことが起こり始めています。われわれのアーキテクチャも8、16、32CPUのSMPが可能となり、RISCベースのUNIXシステムがIAサーバとの競合にさらされるようになってしまいました。コンピュータメーカー各社は、8CPU構成のRISCサーバ製品を値下げしており、IAサーバとオーバーラップしてきています。こうした傾向はさらに強まっていくでしょう。

ZDNet 先ごろ発表されたモバイル技術「Centrino」は、エンタープライズコンピューティングにとってどのような意義があるのでしょうか。

フィスター とてもエキサイティングなモバイル技術です。先ほど、IA64とIA32の組み合わせの話をしましたが、クライアントとサーバの組み合わせによって、もっとビジネスプロセスの効率を高めることができます。その意味からもCentrinoはとても重要なのです。

 かつてのビジネスプロセスは、サーバとダム端末を想定していました。それがデスクトップとサーバが常時接続されているクライアント/サーバに進化し、今は次の洗練された利用形態へと移行しようとしています。常時ではないが、時々接続(オケージョナリー・コネクティング)される形態です。

 企業のCIOたちは、Wi-Fiに大きな期待を寄せています。オケージョナリー・コネクティングが常時接続と遜色ないパフォーマンスでつながるからです。クライアントやモバイルデバイスがもっとパワフルになり、アプリケーションがモバイルであることを認識し、サーバ処理を分散させることができるようになれば、モバイルワーカーの生産性をもっと高められます。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]