エンタープライズ:ニュース 2003/05/06 08:42:00 更新


ベリタスはヘテロジニアスな環境で「ユーティリティコンピューティング」を推進する

「VERITAS VISION 2003 Las Vegas」が米国時間5月5日開幕。初日の基調講演にはゲイリー・ブルーム会長兼CEOが登場し、ベリタスはストレージと隣接するサーバの自動化やアプリケーション管理などでも製品展開することを説明。将来的にはヘテロジニアスに構築されたIT環境のユーティリティコンピューティングを実現する狙いだ。

 「VERITAS VISION 2003 Las Vegas」が米国時間5月5日開幕した。初日の基調講演にはゲイリー・ブルーム会長兼CEOが登場し、ベリタスソフトウェア(ベリタス)はストレージだけでなく、さらにサーバの自動化、アプリケーション管理などを投入すると話した。将来的には、ヘテロジニアスに構築されたIT環境におけるユーティリティコンピューティングを実現する狙いだ。

 VERITAS VISION 2003は、イラク戦争やSARSの影響などで、日本からの参加者は減少したものの、全体としては2500人以上が参加し昨年を上回る盛況を見せた。ラスベガスの中心街「ストリップ」の最南に位置する巨大ホテル、マンダレーベイのサウスコンベンションセンターは早朝から熱気を帯びている。

ゲイリー・ブルーム氏

「ヘテロジニアスは大きな挑戦だが、複雑なところに製品を投入していく」とブルーム氏


 企業のIT投資が減少する中で、同社の業績は好調だ。基調講演に立ったブルーム氏は、派手なパフォーマンスなどは使用せず、静かに強く業績をアピールする。ベリタスの2002年約15億ドルの収益を達成した。中でも第4四半期は、4億0500万ドルと四半期ベースで最高の収益を記録している。総収益の18%を技術投資し、エンジニアの数も増やすなど、ブルーム氏は“成長”を強調する。ソフトウェア企業としては、マイクロソフト、オラクル、SAPに続く第4位の時価総額だという。

「競合ベンダーはリストラを余儀なくされるなど再建を図っているが、ベリタスは成長している。景気回復がいつかは分からないが、回復したときには技術的にも優位になっているのがベリタスだ」(ブルーム氏)

 これまでストレージを中心にアベイラビリティ製品などを提供してきたベリタスは、好調を背景に、ストレージに隣接するサーバやアプリケーションの「パフォーマンス」と「オートメーション」にも焦点を当てる。

 同社はストレージ分野においてヘテロジニアスな環境への対応を行ってきており、プレサイスのパフォーマンス管理ソフトについても同様にヘテロジニアスな環境に投入していく方針。今四半期中には、プレサイス・ソフトウェアの技術を取り入れ、アプリケーションを意識したストレージ管理を実現していくという。ベリタスは昨年12月にアプリケーションパフォーマンス管理ソフトのプレサイス・ソフトウェアを買収、吸収作業を続けている最中だ。

 オートメーション化では、ジェレバ・テクノロジーズのサーバプロビジョミング機能を取り入れる。ベリタスは昨年12月にはジェレバも買収した。

「これら製品をベリタスのテクノロジーと統合化して提供することで、大きなパワーとなる」とブルーム氏。景気低迷による規模の経済を求められる企業に対して、“ITインフラの規模の経済”、いわば中央集中化を実現すると話す。

ベリタスのユーティリティコンピューティング

 この2つの動きは、IBMの「オートノミックコンピューティング」やサン・マイクロシステムズの「N1」などと近い考え方に基づいており、「将来的にはポリシーに基づいた自動化によるユーティリティコンピューティングを実現する」(ブルーム氏)狙いがある。

 だが、ベリタスのそれがIBMやサンと異なるのは、「単一ベンダーがプロプライエタリに行うユーティリティコンピューティングではなく、顧客がベリタスの提供するビルディングブロック(製品)を組み合わせて、それぞれのユーティリティコンピューティングを実現できる」(ブルーム氏)点だ。

 同氏は「現在、ユーティリティコンピューティングを実現する上でかけている点は、データセンターはすでにヘテロジニアスな環境で構築されていることだ。単一のベンダーによる垂直指向はありえない」「ヘテロジニアスは大きな挑戦だが、複雑なところに製品を投入する」と、ベストオブブリードでベリタス製品を組み合わせられる同社の戦略に、終始自信を見せた。

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[堀 哲也,ITmedia]