エンタープライズ:ニュース 2003/05/16 20:05:00 更新


Office SystemとSharePointテクノロジーの緊密な関係

「Microsoft Office System」は従来版のOffice以上に高度な情報共有を実現するため、Windows Server 2003のコンポーネント「Windows SharePoint Services」(WSS)との緊密な連携が図られている。開催2日目のMSCE 2003では、WSSを見ることができた。

 インフォメーションワーカーの作業支援を目的に開発された「Microsoft Office System」は、迅速な意思決定支援、スマートチームワーク、シームレスなプロセス統合の3つを製品コンセプトにすえている。インフォメーションワーカーとは、マイクロソフトが定義する情報を使って仕事をする人のことで、ほぼすべての人間がこれに当てはまるという。

 スマートチームワークという観点では、Office Systemは従来版のOffice以上に高度な情報共有を実現するため、Windows Server 2003のコンポーネント「Windows SharePoint Services」(WSS)との連携が1つの目玉だ。複数のWSSサイトを統合する製品としては、Officeブランドとして再ブランディングされた「SharePonit Portal Server 2003」(SPS)がある。

 開催2日目となった「the Microsoft Conference + expo 2003」では、SharePiontテクノロジーとOffice 2003のコラボレーション機能についてのセッションが開かれた。プレゼンテーションを行った昇塚淑子氏(製品マーケティング本部オフィス製品部シニアプロダクトマネジャー)によれば、スタンドアローンで使われてきたOfficeは、WSSによりチームの共有ワークスペース操作のクライアントソフトへ進化する。

昇塚氏

「SharePointとOffice 2003が組織内の情報を使いやすくする」と昇塚氏


 マイクロソフトのSharePointテクノロジーには2つの製品が存在する。もともと「SharePoint Team Services」(STS)と呼ばれていたコラボレーション機能は今回、WSSとなりWindows Server 2003の標準コンポーネントとして搭載される。一方、「SharePoint Portal Server」はOffice Systemと一員となった。これまで異なるテクノロジーで開発されてきた両製品は、.NETテクノロジーベースとなり、SPSはWSSをコア技術に採用したサーバ製品となる。

 WSSは、ダイナミックなチームの情報共有を可能にするWebサイトを作成するコラボレーションサービス。「チーム」「会議」「ドキュメント」「GroupBoard」と4種類のワークスペーステンプレートを持ち、インタフェースには、表示内容ごとに分けられたWebパーツを採用、ビューを柔軟にカスタマイズできる。インスタントメッセンジャー(IM)も統合され、リアルタイムな情報共有などコラボレーション機能を強化した。また、STSはサーバ1台程度での運用を考えられていたのに対し、WSSはWebファーム構成をサポートし、スケールアウトが可能になる。

WSS

製品企画部のチームサイトという設定。お知らせ、文書ライブラリ、スケジュール管理のWebパーツが配置されている


 WSSはOffice 2003と高度なインテグレーションが図られており、Officeの作業ウィンドウから直接、WSSの文書作業用の共有ワークスペースを利用できる。たとえば、「Outlook 2003」では、会議の配布資料を電子メールで添付送信する際に、参加者が共有できる会議ワークスペースを作成することなどが可能だ。そのほか、Officeによる資料作成を共同で行え、複数メンバーの校正作業を迅速化する。オフライン編集にも対応しているほか、同時に共有ファイルの再編集を行ってもうまく調整できる。

 WSSを基盤とするSPSは、チームサイトよりも大規模使用に向いた製品。企業規模で多様な情報を統合できる全社ポータルを構築できる。WSSで構築した複数のチームサイトを統合可能なほか、共有ファイルサーバやExchangeのパブリックフォルダ、BizTalk Serverなどとも連携する。SPSもWebパーツにより、ユーザーごとにカスタマイズされたサイトを作成できる。

SPS

多様なアプリケーションからのデータ統合が可能とのこと、検索機能も強化される


 昇塚氏は、「情報システム部が管理する大規模サーバにSPSを導入し、SPSの管理機能を使ってWSSチームサイトを部門ごとに提供するといった活用方法や、部門サーバにWSSチームサイトを立て、SPSポータルに統合していく2つのシナリオが考えられる」と語った。

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関連リンク
▼the Microsoft Conference + expo 2003ページ
▼マイクロソフト

[堀 哲也,ITmedia]