エンタープライズ:インタビュー | 2003/05/28 22:11:00 更新 |
Interview:「より多くの人の生産性をさらに高めたい」とIBM Lotus部門のゴヤールGM
今年初めのLotusphereでデビューしたIBM Lotus部門のゴヤールGMが、IBM Software Worldのために来日した。「Lotus Workplace Platform」の考え方を披露するなど、徐々に自身の色を打ち出し始めた彼は、「より多くの人の生産性をさらに高めたい」と話す。
東京国際フォーラムで開催中の「IBM Software World 2003 & IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003」は2日目「Lotus Day」を迎えた。午前のゼネラルセッションでは、IBM ソフトウェアグループのLotus部門を統括するアンブッシュ・ゴヤールGMが、コラボレーションをテーマに講演した。
ゴヤール氏は、1982年にIBMワトソン研究所の研究員として入社、DB2 UDBやWebSphereの基盤となる技術の研究開発に携わった。Lotus、WebSphere、DB2、そしてTivoliというミドルウェア4ブランドのインテグレーションをオープンスタンダードベースで推進するIBMらしい人選といえる。昨年までは、同じIBMソフトウェアグループでソリューション&戦略部門のGMを務めていた。1月のLotusphereカンファレンスでLotus部門のGMとしてデビューしたばかりだが、「Lotus Workplace Platform」構想を掲げるなど、徐々に自身の色を打ち出し始めている。
ゼネラルセッションを終えたゴヤール氏に話を聞いた。
ZDNet ゴヤールさんはソリューション&戦略部門のGMとして、WebSphere Business Integration製品の戦略を担当されていました。ちょうど、日本IBMもこのカンファレンスでその強化と各業界に特化したテンプレートの提供を明らかにしています。Lotus製品でもテンプレートの提供が考えられますか。
ゴヤール 昨年、IBMはWebSphere Business Integration製品において、自動車、金融、電機、通信といった各業界のビジネスプロセスを自動化するためのテンプレートを提供しました。今月、ドイツ(のSoftware Symposium)で新たな発表があり、今後とも強化を継続していきます。これはシステムのバックエンドに対する取り組みです。
それに対して、Lotus部門は「人」を中心したソリューションにフォーカスしており、いわゆるフロントエンドでテンプレートを提供していきます。バックエンドの機能を引き出し、相互にシナジーを生み出すことになります。今年のLotus部門はそこに注力していくことになります。
ZDNet テンプレートについて教えてください。カスタマイズ可能なアプリケーションという意味ですか?
ゴヤール いいえ、テンプレートはアプリケーションをデザインするための「ハウツー」(How to)です。
ある企業が、コールセンターの価値を高めたいと考えているとします。従来はオペレーターがその知識の範囲内で答えていたのですが、専門知識を持つエキスパートと即座に連絡を取ったり、情報にアクセスできるようにすれば、顧客満足度は高まりますね。また、そのときにオペレーターが単一の「e-ワークプレイス」(仮想ワークプレイス)からエキスパート、情報、そしてビジネスプロセスにアクセスできるようにしてやれば、生産性は格段に向上します。
このように、われわれはインスタントメッセージング、電子メール、ドキュメント管理、ワークフロー管理、e-ラーニングといったLotusのコンポーネントや技術を提供しているわけですが、それを利用して、どのようにコールセンターの生産性を高めていくのかが「ハウツー」となります。顧客らはコンポーネントや技術をいちから考えるのではなく、テンプレートによってそれらをどう利用していくのかを理解して、短期間でソリューションを構築することができます。
もちろん、個々の製品をわれわれは継続して販売していくわけですが、実際に「人」がアクセスするのは、e-ワークプレイスです。それを構築するためのベストなプラットフォーム、ベストなコンポーネントを提供していきますが、例えば、企業は人事分野にはPeopleSoftを選ぶわけで、J2EEをはじめとするスタンダードによってオープン化を進め、それも統合できるようにしなければなりません。
革新的な製品の開発は?
ZDNet ゴヤールさんは、ワトソン研究所の研究員としてIBMのキャリアをスタートしていますね。Lotus製品の研究開発について聞きたいと思いますが、かつてロータスが独立した子会社だったころにLotus製品を開発していたアイリスはもうありません。どこで革新的な製品を生み出す作業が行われているのでしょうか?
ゴヤール われわれのリサーチ活動は、より多くの人の生産性をより高めることにフォーカスしています。デスクトップでもモバイルでも、そしてコールセンターもそうですね。さまざまな領域で人の知識をうまく取り込み、生産性を高めることを追求しています。
また、デベロップメントですが、既にLotusはIBMソフトウェアグループの一員となっています。マサチューセッツ州ウェストフォード、テキサス州オースチン、ノースカロライナ州ラレー、日本の大和、インドに中国……、エジプトのカイロもあれば、アイルランドのダブリンもあります。
要するにIBMのワールドワイドの機能とリソースを最大限に活用して開発されています。大和研究所に600人のソフトウェア技術者がいますが、100〜150人がLotus製品の開発のために従事しています。
ZDNet 先ごろ、WebSphere Portal製品の責任がLotus部門に移りましたが、その狙いを教えてください。
ゴヤール 人と人との対話型作業を効率的に実現するには単一のプラットフォームが必要だと考えました。それが「Lotus Workplace Platform」という考え方です。コラボレーションとポータルの製品はそれぞれ別々に販売されることに変わりはありませんが、プラットフォームに統合されている必要があります。繰り返しになりますが、「人」の生産性をさらに高めていくことがわれわれの狙いです。
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関連リンク
IBM Software World 2003 & IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003
[聞き手:浅井英二,ITmedia]