エンタープライズ:ニュース 2003/06/03 22:51:00 更新


Office Systemはデータを中心としたドキュメントソリューションへ

印刷を最終目的としたドキュメントからデータを中心としたものへ。マイクロソフトの次期オフィス製品「Office System」では、XML本格対応を武器に業務システムのフロントとしての活用を提唱している。

 印刷を最終目的としたドキュメントからデータを中心としたものへ。マイクロソフトの次期オフィス製品「Office System」では、XML本格対応を武器に業務システムのフロントとしての活用を提唱している。6月3日、同社はプレス向け「Office Systemテクニカルセミナー」を開き、XML対応の概要を説明した。

 Office System製品では、「Excel」「Access」「Word」「FrontPage」「Visio」、そしてOfficeの新アプリケーションとなるXMLオーサリングツール「InfoPath」でXMLをサポートする予定だ。マイクロソフトは「Office 2000」からXML対応を段階的に進めてきたが、Office Systemでユーザーが独自にXMLスキーマを定義できる「カスタム定義スキーマ」に対応したことが最大の特徴となっている。

 「これまでOfficeは印刷を最終目的として使われてきた。Office Systemでは、XMLに本格対応したことで記載されたデータをバックエンドなど、さまざまなところで使えるようになる。これがデスクトップアプリケーションでXMLを採用する一番のメリットだ」とマイクロソフトの細井 智氏(製品マーケティング本部オフィス製品部シニアプロダクトマネジャー)は説明する。

 新アプリケーションとしてOfficeにラインアップされたのがXMLオーサリングルーツのInfoPath。InfoPathでは、「入力モード」と「デザインモード」の2種類が用意され、開発から入力までXMLを効果的かつ容易に扱うための専用ツールとして利用されることを想定している。

 入力モードは、エンドユーザーがOfficeの使い慣れた操作のままXMLによるバックエンド連携を可能にするもの。エンドユーザーはXMLを使っていることをまったく意識する必要なく利用できる。

 デザインモードは、XMLスキーマ(XSD)やスタイルシート(XSL)を含む入力テンプレートを開発するもの。「開発とはいってもデベロッパーではなく、OAリーダーとか情報リーダーといった人が、Word感覚の入力とドラッグ&ドロップ形式で簡単にフォームを作れる」(細井氏)のが特徴だ。データベースや既存のXMLスキーマ、Webサービスとの連携もコーディングなしで行うことができる。また、同じデータソースに対して複数のビューを作成することも可能だ。

 Infopathで生成されるXMLファイルは、XMLデータとテンプレート(XSN)が別々に保存される。これにより、InfoPathは基幹系および情報系の両方に対応できることになる。XMLデータは単なるXMLとして基幹系との連携に活用でき、テンプレートと合わせれば業務報告書など情報共有用のフォームとして活用できるという。

 XSNは、InfoPath独自形式のテンプレートだが、その中身はスタイルシートやスキーマなどのフォーマットをギャザリングして構成されている。

 また、細井氏は「ERP、CRMでは、当然クライアントソフトも提供されている。だが、すべての機能をひとつに盛り込んでいるので、個別の業務ニーズに対して必ずしも使いやすいものはいえない。たとえば、SEとマーケティングが同じ情報を必要するわけではない。InfoPathでは必要な部分だけを簡単にフロントに持ってこられる」と話し、基幹系システムとの連携におけるInfoPathの存在理由を説明した。

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[堀 哲也,ITmedia]