エンタープライズ:ニュース 2003/06/05 19:04:00 更新


Sybase、エンタープライズソフトのWi-Fi対応のために2500万ドルを投資

802.11ホットスポットを利用するモバイルワーカーは増えているが、セキュリティや接続の持続性などの問題も多い。Sybaseはこれらの問題を解決するための研究開発投資を行う。(IDG)

 Sybaseは2004年、エンタープライズアプリケーションから公衆ワイヤレスLANネットワークを利用する際に、そのコスト効率をさらに向上させ、安全に接続できるようにするため、2500万ドルを投じる。

 802.11(Wi-Fi)を用いた公衆無線LANはモバイルワーカーにとっては恵みではあるが、厄介な問題も抱えている。アクセスポイントは依然として少なく、間隔は離れすぎており、ポータブルデバイスのバッテリーはすぐに上がってしまう、とSybaseの子会社であるiAnywhere Solutionsのマーケティング担当副社長、ブライアン・ビンク氏は指摘する。アクセスポイント間のローミングにはIPアドレスの変更を行わなければならず、初心者ユーザーには難しい、と同氏は付け加える。

 SybaseはWi-Fiの研究ネットワークを作るために2500万ドルを投資し、その最初の研究施設はオンタリオ州ウォータールーのWaterloo大学に設置される。同社は携帯デバイス用のアプリケーションにSybaseの技術を組み込むため、ソフトウェア開発のパートナーとの共同作業を行う。

 ビンク副社長によれば、このソフトウェア開発に関しては、3つの関心分野があるという。異なるネットワークをまたいだアプリケーションの一貫性、ネットワークセキュリティ、そしてデータのローカルキャッシング、である。

 ある無線アクセスポイントから別のアクセスポイントにローミングするには、携帯デバイスにネットワークごとの新しいIPを与える必要がある。サーバ側は新しいアドレスに移ったデバイスを見つけ、接続とアプリケーションの状態をその変更後も維持しなければならない。このためにはクライアント、サーバの双方で特殊な注意を払う必要がある、と同氏。

 セキュリティ標準、Wi-Fi Protected Accessは、策定され次第、Sybaseソフトウェアに組み込まれるとビンク副社長。

 Sybaseは普通のラップトップコンピュータのバッテリー容量についてはどうすることもできないが、いくつかのソフトウェア的トリックが存在する。たとえば、サーバデータをクライアントにキャッシングして消費電力を抑え、ローミングをシンプルにすること。「われわれが提供する最も重要な部分は、いつでも利用可能なアーキテクチャだ、ということ」とビンク氏は強調する。これは、ネットワーク接続がされていない場合にはアプリケーションデータをローカルキャッシュから引き出し、接続が復活したら同期をとるというやり方だ。つまり、無線接続を常にオンにしておく必要はないのである。

 ビンク副社長は、このプログラムにより開発されたソフトウェアは、OracleやIBMのエンタープライズアプリケーションでも利用できると予想する。

「彼らのエンタープライズ向けデータベースもサポートするつもりだ。しかし、モビリティ(可動性)をサポートするソフトウェアは、われわれの製品だ。われわれは、リモート環境でソフトウェアを導入するための試金石となるのだ」とビンク氏。

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[Peter Sayer,IDG News Service]

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