エンタープライズ:ニュース 2003/06/24 22:20:00 更新


「米国最速予定」スパコンはOpteron + SuSE Linux

スーパーコンピュータでシェアを高めつつあるIntel互換クラスタ。米国で最速を目指す“Red Storm”はプロセッサにOpteronを選択、CrayとSuSEが共同でシステム構築する。(IDG)

 SuSE Linuxは6月23日、米国エネルギー省サンディア国立研究所に置かれる並列処理コンピュータ、“Red Storm”に関し、Crayからの指名により、共同で開発に参加すると発表した。

 “Red Storm”は米国の核管理シミュレーションなどの用途に用いられる予定で、同社によれば、AMDの64ビットOpteronプロセッサと広域バンド幅、低レイテインシーの内部スイッチングアーキテクチャーを組み合わせたものになるという。同システムは2004年末以降の運転開始となるが、CrayとSuSEは既に作業に取りかかっている。

 SuSEは64ビットLinux OSの実装に実績があることと、Intel Itaniumプロセッサのクラスタリング技術を提供していることで契約を勝ち取ったと考えている。

 「われわれが64ビットアーキテクチャーを動かすことができる唯一の選択肢であることを考えれば、驚くべきことではない。それに、われわれはクラスタリングに関するノウハウを多数持っている。開発と技術サポートの両方で手伝えるところが必要だったのだと思う」とSuSEの米国担当ジェネラルマネジャーであるホルガー・ダイロフ氏は語る。「われわれは3年前にOpteronの実装を開発し始めている」と同氏は付け加えた。

 ダイロフ氏によれば、次期システムの実装に使われるのはSuSE Linux Enterprise Server 9.0で、カーネルにはLinux 2.6が使われる予定だという。

 Crayの幹部は、SuSEの既存製品とサポート力が、本プロジェクトにおける魅力的な技術パートナーとしての要因だったと説明する。

 「われわれがSuSE Linux Enterprise ServerとAMD 64を選択したのは、Linuxとハイ・パフォーマンス・コンピューティングを結びつけることができるからだ」とCrayでRed Stormプロジェクトを担当するオペレーション担当幹部、ウェイン・キューゲル氏は語る。「SuSE Linuxはハイ・パフォーマンス・コンピューティング向けの強力なOSだ」と同氏。

 既存のスーパーコンピュータプロジェクトと、その到達性能を考慮すると、SuSEとCrayでは“Red Storm”が完成すれば米国で最速のスーパーコンピュータになると予測している。

 この契約により、IntelとIntel互換チップメーカーは、世界最速スーパーコンピュータにおける勢力をさらに拡大しそうだ。23日に発表された調査報告によれば、世界のスーパーコンピュータ最速500システムのうち、Intelベースのものは119を占める。昨年は56システムだった。

 「IntelとAMDのチップは現時点で最高の価格パフォーマンス値を示している。それが、スーパーコンピュータにおけるシェアを高めている大きな理由だ」とダイロフ氏は説明した。

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[Ed Scannell,IDG News Service]

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