エンタープライズ:ニュース 2003/07/01 22:59:00 更新


「全社に渡る冗長化を実現」、ラドウェアが小型マルチホーミング機器を投入

ラドウェアがリリースした「LinkProof Branch」は、LinkProofの機能を継承しながら大幅に小型化を図り、コストも抑えた中小拠点向けのマルチホーミング機器だ。

 ラドウェアは7月1日、企業の中小拠点でのマルチホーミングとファイアウォール/VPNの冗長化を実現する小型のロードバランサー「LinkProof Branch」を発表した。

 同社はこれまで、独自ASICを搭載し、第3世代まで登場しているハードウェアプラットフォーム「Application Switch Platform」と、負荷分散や障害検知、帯域制御やセキュリティといった機能を実現するソフトウェアアーキテクチャ「SynApps」との組み合わせによって、さまざまなタイプの負荷分散製品を提供してきた。その一例が、Webのロードバランスを実現する「Web Server Director」であり、IDSやファイアウォールの負荷分散を行う「FireProof」であり、マルチホーミングを実現する回線用ロードバランサー「LinkProof」だ。

 今回発表されたLinkProof Branchは、文字どおりLinkProofの機能を継承しながら、大幅に小型化を図った製品だ。日本国内から吸い上げられたニーズを踏まえ、企業の中小拠点や出張所などでの利用を念頭に置いた設計となっている。

 既に市場に出荷されているApplication Switchが数百Mbpsからギガビットクラスのパフォーマンスを実現するのに対し、LinkProof Branchが対応可能なのは最大50Mbps。搭載するSynAppsソフトウェアの機能も限定され、DoS(サービス妨害)攻撃のブロック機能が省かれているほか、IDSのシグネチャ数も、Application Switchシリーズやローエンド機種の「Entry」に比べ、半分ほどとなっている。

 だがその分、価格も抑えた。通常のApplication Switchが396万円、Application Switch IIは605万円といった価格であるのに対し、LinkProof Branchの価格は99万円。帯域制御機能とIDSを搭載した「SynApps Branch」は135万円だ。これにより、従来は機器本体のコストがネックとなって導入が困難だった中小の拠点でも、回線の冗長化が図れるという。

LinkProof Branch

LinkProof(下)の上に載っているのが新製品の「LinkProof Branch」

 LinkProof Branchは、8個の10/100BASE-TXポートを搭載しており、2台での冗長構成も可能だ。きょう体も、従来のラックマウント型とは様変わりしており、一見するとブロードバンドルータのような印象を与える。ちなみにこのモデルは、日本国内向けの特別仕様となっており、海外モデルのスループットが5Mbpsであるのに対し、日本版だけは50Mbpsを実現したということだ。

 同社は、「これまでのラインナップでは、本社にApplication Switch IIや同IIIを、また大きめの支社にはApplication SwitchやEntryを導入するという形で、一番数が多い小規模拠点は(コストの問題から)冗長化の恩恵に与ることができなかった。LinkProof Branchによって、拠点すみずみまでをカバーし、全社的に冗長化を図ることができる」と説明している。

 LinkProof Branchの導入からは、ダウンタイムの発生を回避し、継続的なネットワークへの接続を確保できること、複数のブロードバンド回線間で負荷分散を行い、必要なときに必要なだけの帯域を利用できることといったメリットが生まれる。同社が提供する管理ツール「Confinware Insite」を組み合わせれば、各機器の生死確認や管理を一元的に行えるため、ここでも運用コストを抑えられるという。

 特徴としては、VPN接続についても同様にフェイルオーバーが可能となっていることが挙げられるだろう。特に、ラドウェアと戦略的な提携を結んでいるNetScreen TechnologiesのVPN/ファイアウォールアプライアンスについては動作を検証済みといい、この2つを組み合わせての販売も展開していく。現在徐々に導入が広まっているVoIPも、LinkProof Branchによるマルチホーミング環境下で利用できるということだ。

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[高橋睦美,ITmedia]