エンタープライズ:ニュース 2003/07/08 22:24:00 更新


Project 2003とVisio 2003は、一般ビジネスユーザーを取り込める?

Officeスイートと比べ、いまいち知名度が低い姉妹製品の「Project」と「Visio」。Office Systemでは、一般のビジネスユーザーに幅広く採用してもらおうと機能強化を図っている。

 「Word」や「Excel」といったOfficeスイートと比べると、いまいち知名度が低い姉妹製品の「Project」と「Visio」。今秋発売予定のOffice Systemでは、一般のビジネスユーザーに幅広く採用してもらおうと機能強化を図っている。

 「Microsoft Office Project 2003」は、企業のプロジェクト管理(PM)を行うソフト。生産管理などPMの概念が行き届いている製造業などでの採用が進む。エンタープライズプロジェクトマネジメント(EPM)の浸透と共にProjectの売上も伸びているという。

 マイクロソフトの田中紀光氏(製品マーケティング本部オフィス製品部シニアプロダクトマネジャー)は、「企業のプロジェクト管理は部署ごとに独立して進行されるため、部署間での一貫性が失われやすい」と話す。そのため、プロジェクトの重複が起きたり、部署間の隔たりが人員活用面などで非効率を生み出し、プロジェクトの進捗管理ばかりに労力が費やされてしまっている。

 この問題に対し、プロジェクトの情報を企業レベルで共有、プロジェクトの成果を最大化しようというのがOffice Project 2003での強化ポイント。シングルユーザー向けのStandard版のほか、エンタープライズシナリオ向けのProfessional版および「Office Project Server 2003」、「Office Project Web Access」の4製品で構成した。

 例えば、プロジェクト管理者が「Office Project Professional 2003」でプロジェクトのスケジュールやリソース、コストを管理し、リソース管理者が登録されたスキルに応じた担当者のアサインをするといった利用を行う。これらの情報はOffice Project Server 2003を介して共有されることになる。実際の作業を行うチームメンバーは、IEにアドオンされるOffice Project Web Accessを通じて、自分のタスクやスケジュールを管理し、進捗状況を報告することができる。

 一方、経営層などの上級管理者は、プロジェクトの優先度を確認しながら、コストや期間をシミュレートして迅速な意思決定を可能にする。

 コラボレーション機能としては、Windows SharePoint Servicesとの統合によるドキュメントのバージョン管理、リスク管理などを可能にした。プラットフォームとしてもActive Directory(AD)のリソース情報との同期機能や、Project Serverのデータベースを2分割できるなどの強化が図られているという。

BPMツールとして活用を前面に押し出す「Visio 2003」

 ビジネスグラフィックスソフト「Office Visio 2003」は、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)としての利用を促進する機能強化を行っている。図とデータを統合するVisioには適した分野のようだ。

 Visioは現状、Officeパッケージの販売の5%程度の販売実績しかない状況。マイクロソフトの西岡奈穂子氏(製品マーケティング本部オフィス製品部Visioプロダクトマネジャー)は、今回の機能強化で、一般のビジネスユーザーを取り込んでいきたいと話す。

 そのため、Visio 2003では、BPM用テンプレートとしてフォルトツリー解析図やSAP R/3用のEPC図などを追加、Six Sigma、ISO 9000用の新シェイプを搭載するなどの強化が図られている。そのほか、HTMLへのレポート出力機能の大幅に強化に加え、図面の校正履歴、データフォーマット変換機能なども向上したという。タブレットPCやデジタルインクへの対応も図られ、モバイル環境を意識している。

 また、既存のデータをビジュアル化する機能も強化。OutlookやExchangeのデータからのカレンダー作成が可能なほか、Excelシートのデータを取り込みVisioで自動作成できる。前出のProjectとの間では、プロセスラインなどのデータのやり取りが可能だ。

 Visio 2003では開発者向け機能も強化されており、ActiveX Controlに対応したことで、業務アプリケーションにVisioの作図機能を埋め込むといった利用が可能になる。

 現状Visioを利用するユーザーの多い情報システムや開発部門向けに対しては、ネットワーク図を改良、新たにラック図を追加するなど、ITシステムを効率良く管理できるようになるという。

 Visio 2003では、ビジネスユーザーなどをターゲットにフローチャートや組織図などのグラフィックスを搭載したStandard版と、テクニカルユーザー向けのProfessional版の2種類が用意される。

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[堀 哲也,ITmedia]