エンタープライズ:ニュース | 2003/07/29 20:05:00 更新 |
Sunは自社製Linuxを捨て去ったわけではない
SunはデスクトップバンドルのMad Hatterを準備中だが、これに搭載されるLinux OSは自社オリジナルのディストリビューションだ。(IDG)
Sun MicrosystemsはカスタマイズしたLinuxディストリビューションの販売を数カ月前に停止したが、自社製Linuxの戦略を完全に捨て去ったわけではない。Mad HatterというコードネームがつけられたデスクトップソフトウェアのバンドルにはSun自身のLinux OSが含まれているのだ。
Sunは4月にSun Linux 5.0の販売を中止する決定を下した。顧客はLinuxのバージョンがまた増えるだけと興味を示さなかったから、というのがその理由だ。数週間後、SunはトップLinuxディストリビューターのRed Hatと提携し、Sunのx86サーバハードウェアにはRed Hat Linuxが採用されている。
Linuxベンダーとの提携は、Sunのサーバ戦略においては継続されるが、デスクトップに関しては独自のディストリビューションを使うことになるだろう。Sunのソフトウェアグループ担当執行副社長であるジョナサン・シュワーツ氏はニューヨークで行われたプレスミーティングでそう述べた。
Sunの次期ソフトウェアバンドルであるMad Hatterは現在、ベータテスト中。主にオープンソースのソフトウェアを組み合わせたデスクトップ・アプリケーション・パッケージで、SunのStarOfficeオフィススイート、Mozillaウェブブラウザ、Gnome (GNU Object Model Environment) デスクトップインタフェース、XimianのPIMソフトEvolutionなどが含まれる。
Linuxのサーバとデスクトップは大きく異なる技術なので、SunがLinux戦略を分岐させたのは理解できると、Illuminataの上級アナリスト、ゴードン・ハフ氏は説明する。Mad Hatterのようなソフトウェアバンドルではアプリケーションの統合化が重要で、OSをコントロールすることで、SunはMad Hatterの全体的な技術アーキテクチャをうまく管理することができるだろうと同氏は推測する。
Mad Hatterは当初8月リリースに向けて進められていたが、スケジュールは少々遅れており、9月か10月頃にデビューの予定だとシュワーツ氏は語った。Sunの想定するユーザーは、多くの従業員を抱える、コスト意識の高い企業で、ハイエンドのアプリケーションは必要ないところ、たとえばコールセンターや小売り店、銀行の支店などだ。Sunの最大のベータテスターとなっている企業は4000人の従業員がMad Hatterを使っているという。
Microsoftから高額なOSやオフィスソフトのライセンスを購入する必要がなく、Mad Hatterは基本機能をわずかのコストで備えている、とシュワーツ氏。3年間で5000万本のMad Hatterバンドルを販売する予定だと同氏は語る。
SunはMad Hatterの価格を従業員数1人当たり1年間で50-100ドルにする予定だとシュワーツ氏。最終的な価格は9月中旬にサンフランシスコで開催されるSunNetworkカンファレンスで公表される予定だ。
SunNetworkでは、SunのOrionサーバ・ソフトウェア・パッケージの価格も発表される予定。
Sunはソフトウェア戦略の転換を図っており、コアとなる5製品の提供を近々予定しているとシュワーツ氏は述べる。Orionサーバ・ソフトウェア・バンドル、Mad Hatterデスクトップバンドル、J2ME (Java 2 Mobile Edition) モバイル・デバイス・ソフトウェア、プログラマー向けのOrion Developer and Java tools、そしてN1データ・センター・テクノロジーである。
OrionにはSun ONE (Open Net Environment) Application、Instant Messaging、Calendar、Web、PortalサーバといったSunのサーバソフトウェアがすべて搭載される。従業員1人当たりの価格は年間100ドルから200ドルだとシュワーツ氏。
価格に関しては、Sunはすべてのライバルに勝てると自信を持っている。しかし、ユーザー単位でのライセンシングが適用されないのはSunハードウェアでOrionを導入した場合だけだ。シュワーツ氏はOrionがSunのハードウェア売り上げをアップさせるためのおとり商品ではないかという意見には、Sunは自らをシステムベンダーと見ており、ハードウェアとソフトウェアを区別してとらえていないと答えた。
「われわれはOrionを使い、システムビジネスを強化する」と同氏。「当社の武器庫の中の使える兵器はすべて使う」とシュワーツ氏は宣言した。
Sunのハードウェアを購入しない顧客もOrionを購入することはできるが、価格は高く、ライセンス条件は細かいとシュワーツ氏。Sunは旧来型のライセンス条件を希望するユーザーには、その形式でのライセンスを提供しているが、予測可能な従業員数による課金ライセンスを推奨している。
従業員数課金により、ソフトウェア認証の必要がなくなる。Sunは米国証券取引委員会に提出された従業員数に従って課金を行うつもりだ。非公開企業は自己申告制だ、とシュワーツ氏。Orionのライセンシングは内部、外部に向けた導入のいずれに対しても適用される。検索エンジン会社のGoogleなどの顧客は1億人を超えるユーザーに対するサービスを提供していても、1000人の従業員規模に相当するライセンス料を支払うことになる、とシュワーツ氏は語った。
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[Stacy Cowley,IDG News Service]
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