エンタープライズ:ニュース 2003/06/24 20:24:00 更新


「Java + Liberty + Webサービス」で差別化を図るSun

サンが都内で「Java Webサービスソリューションサミット」を開催し、セキュアかつ配信プラットフォームの選択肢が豊富なSun版Webサービス「Federated Identity Java Web Services」を売り込んだ。

 サン・マイクロシステムズは6月24日、都内のホテルで「Java Webサービスソリューションサミット」を開催した。基調講演のために来日した米Sun Microsystemsのスティーブ・ペリティエ副社長は、コンピューティングのパラダイムシフトが進行する中、Sunはネットワークアイデンティティ技術をはじめとする不可欠な技術を既に提供しており、常に同社が技術革新をリードしていることを強調した。

 現在市場では、伝統的なデスクトップPCを凌駕するボリュームのネットワークデバイスが登場し、ユーザーにいつでもどこでもアクセスできる環境を作り上げている。アプリケーションインテグレーションの厄介さもWebサービスの台頭によって解消されようとしている。また、CIOらの頭痛の種であるIT予算削減は、データセンター運用の効率化を促している。

 ペリティエ氏は、こうしたパラダイムシフトを加速させる要素技術として、ユーザー認証やセキュアなモビリティ、ネットワークサービスを配信するためのプラットフォーム、動的なプロビジョニング技術などを挙げた。

 米Sunでネットワークアイデンティティ、コミュニケーション、およびポータルの製品開発部門を率いるペリティエ氏は、ユーザー認証機能とポータル、そしてLiberty標準を組み合わせた同社のソリューションについて特に時間を割き、情報に対するアクセスの自由度が高まるにつれ、ユーザー認証がますます重要になるとした。

 「Java CardとLibertyの組み合わせは、ネットワーク上で個人を認証するためも最も安全なスタンダードだ」とペリティエ氏。米国の政府系や軍関係はもちろん、アジアでは台湾に続き、韓国でも国を挙げてJava Cardの採用に動いているという。Java Cardの出荷累計は、3億枚に上る。

究極のモビリティ

 こうしたネットワーク上で個人をしっかりと認証してくれる仕組みが普及すれば、「セキュリティを担保しながら、真のモビリティを実現できる。Sunの技術を利用すれば、デバイスだけでなく、ユーザーも移動できる」とペリティエ氏は話す。

 例えば、Sunは、Java Cardを発表してまもなく、その応用例として「Sun Ray」を発表している。かつてのダム端末をスマートに蘇らせたSun Rayは、すべてのロジックとデータがサーバ側にあるため、究極の安全性とモビリティを実現する。Java Cardを持ち歩き、空いているSun Rayに挿入すれば、どこでも自分のデスクトップ環境で作業が続けられる。Sun社内では2万台が利用されているという。

 これまで携帯電話やサーバ分野での成功をおう歌してきたJavaだが、Sunは今月、サンフランシスコで行われたJavaOneカンファレンスで、改めてデスクトップPCに対するJava VMの「じゅうたん爆撃」戦略を打ち出している。期間中には、Hewlett-PackardやDellがデスクトップPCやラップトップPCすべてに最新のJava VMをプリインストールすることを明らかにした

 こうなると、昨年9月のSunNetwork 2002 Conferenceで発表された「Project Madhatter」が現実味を帯びてくる。

 Project Madhatterは、Sun Linux、GNOME 2デスクトップ、Mozillaブラウザ、StarOfficeスイート、Outlook互換のXimian Evolutionなどから構成され、サーバサイドのIdentity、Portal、およびMessagingの各種Sun ONEサーバ製品群と連携する。Java Cardがユーザー認証に使われることは言うまでもない。

 Sunでソフトウェア事業を統括するジョナサン・シュワルツ執行副社長は、「Javaによってデジタル著作権が保護される仕組みが提供されている携帯電話では、着メロの巨大な市場が創造された。これをデスクトップPCにも持ち込みたい」と話している。

 ペリティエ氏は、こうしたボリューム、言い換えれば「新市場の創造」が、多くのデベロッパーを引き付けるとする。

 「Federated Identity Java Web Services」とペリティエ氏が呼ぶ、「Java + Liberty + Webサービス」というSun版のWebサービスは、実際に多くのデベロッパーの支持を獲得している。ペリティエ氏によれば、Webサービスを開発するデベロッパーの実に78%はJavaを選んでいるという。

 Webサービスでさまざまな機能をラッピングして提供すれば、そのインテグレーションは柔軟になるのはもちろんだが、JavaでWebサービスを構築すれば、それを配信するプラットフォームの選択肢は豊富になる。

 「Write Once, Aggregate Forever」(一度書けば、いつまでも統合できる)とペリティエ氏は話す。

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[浅井英二,ITmedia]