エンタープライズ:ニュース 2003/08/07 23:39:00 更新


PostgreSQLをベースにしたSRAの「PowerGres」、充実したサポートが特徴に

SRAは、オープンソースのデータベースソフトウェア「PostgreSQL 7.3.4」をベースとしたパッケージ製品「PowerGres」のラインナップを強化した。

 SRAは8月7日、オープンソースのデータベースソフトウェア「PostgreSQL 7.3.4」をベースとしたパッケージ製品「PowerGres」のラインナップを強化し、シリーズとして展開していく方針を明らかにした。

 同社は、オープンソースという言葉が広く普及する以前よりPostgreSQLに着目し、保守・サポートサービスの提供や日本語ドキュメントの公開などを行ってきた。ニーズの高まりを背景に、PostgreSQLの機能をWindowsに移植したPowerGresをリリースしたのは、昨年11月のことだ。

 この日の発表では、Webベースの管理ツールを同梱したLinux版「PowerGres on Linux」がリリースされたほか、より大規模なシステムを対象とした上位版「PowerGres Plus」が追加された。

 この日の発表では、Webベースの管理ツールを同梱したLinux版「PowerGres on Linux」がリリースされたほか、より大規模なシステムを対象とした上位版「PowerGres Plus」が追加された。

基本設定画面

PowerGres on Linuxが搭載するWebベースの管理ツール


 PowerGres on Linuxは、PostgreSQLのデータベースとしての基本的な機能はそのままに、基本設定やユーザー設定、データベースの起動や停止、バックアップなどをグラフィカルなインタフェースで行えるWebベースの管理ツールが追加されている。このツールでは、テーブルやインデックスごとにディスクの使用量を把握することも可能だ。動作環境はRed Hat Linux 9.0/8.0/8.3、Turbolinux Enterprise Server powered by United Linux、Turbolinux 8 Serverとなっている。

ディスク使用量

テーブルがそれぞれどのくらいのディスク容量を利用しているかが把握できる


 一方PowerGres Plusは、動作プラットフォームがRed Hat Enterprise Linux AS/同ESとなっていることからも分かるように、より大規模なデータベースシステムを念頭に置いた製品だ。もともとのストレージマネージャに代えて、富士通が同社のデータベース「Symfoware」向けに開発した「Extend Storage Manager for PostgreSQL」を採用することで、より高速な処理を可能にするといい、最大で150程度の同時セッションをサポートするという。

 PostgreSQLでは、不要なレコードを削除し、データベースの性能を維持するためにバキュームコマンドを定期的に実行する必要があった。PowerGres Plusではその作業が不要になっている。またデータのアベイラビリティ向上を図る意味で、一種の自動バックアップ機能ともとれる「アーカイブログ」機能がサポートされている。これにより、いちいちバックアップコマンドを実行することなく、最新の状態のデータへのリカバリが可能となる。SRAではこれら一連の追加機能により、データベースの運用管理作業をより容易なものにしていくとしている。

 官公庁においてLinux採用が始まるなど、オープンソース製品に対する期待はますます高まりつつある。だが、コストメリットやソースコードの公開による信頼性といったメリットと裏腹に、企業ユーザーが懸念するのが保守・サポート体制だ。

 そこでSRAでは、PowerGres Plus、PowerGres on Linux、それにPowerGres on Windowsの各製品に対し、充実したサポート体制を用意する。まず、製品生産が終了してから3年間のサポートを保証。その上で、製品とニーズに応じたいくつかのサポートサービスを用意した。

 PowerGres on Linux、それにPowerGres on Windowsの場合、30日間のインストール支援を提供する「インストールサポート」がパッケージに標準で付属する。さらに、最新の修正パッチを提供する「製品保守サポート」が年間1万円で、また障害対応やサポートデスクサービス、各種API関連の問い合わせや無償バージョンアップが提供される「年間サポート」が年間8万円で用意された。その上、データベースのチューニングや設計に関する問い合わせに対応する「サポート&保守サービス」も用意される。なおPowerGres Plusでは基本的に「年間サポート」のみが提供される。

 管理を容易にするツールの提供とパフォーマンスの向上を図るだけでなく、「検証済みの安定したシステムに安心できるサポートを加え、できるだけ安価に提供する」という方針だ。

 SRAによると、4月の出荷開始以来、2000コピー以上のPowerGres on Windows評価版がダウンロードされたという。中にはネットエイジのように、メーリングリスト管理製品のデータベースとして採用したケースもある。

 SRAは今回のシリーズ強化をきっかけに、さらに市場の拡大を図る計画だ。PowerGres on Linuxの価格は4万8000円、PowerGres Plusは7万8000円。年度内に、コンサルティングやサポートも含め1億円の売り上げを目指すという。

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