特集
2003/08/08 13:00:00 更新
特集:LVMによるディスクパーティションの動的化(後編) (5/5)
この際にスナップショットパーティション(/mnt/misc2)を確認すると、見えなくなってしまうので注意が必要だ。もちろん、オリジナル側は正常に機能している。
$ ls /mnt/misc2/densuke ls: /mnt/misc2/densuke: そのようなファイルやディレクトリはありません |
このようにスナップショット機能を利用すれば、安全にバックアップしつつ、表ではサーバ本来の機能を稼働し続けることが可能だ。実際にはバックアップを復元した際の整合性を考慮しなければならないため、データベースのデータ領域をLVMに置く場合には、いちど該当するサーバソフトを停止させた上で、スナップショットを作成してから再開させることが望ましい。これまでの手順をまとめてみると、次の通りだ。
1. データベースが稼動中のサーバを止める。
2. データベースファイルが保存されているパーティションをアンマウントする(必要ない場合もある)。
3. スナップショットを作成する。
4. オリジナルのパーティションをマウントし直す。
5. データベースのサーバを起動する。
6. スナップショットのバックアップを開始する。
バックアップ終了後は、スナップショットを破棄しておこう。実運用で利用する場合には、実際にバックアップしたデータが戻せるかどうかをテスト検証しておきたい(筆者は、PostgreSQLを用いた場合で動作を確認しているが、OracleやMySQLなどの動作確認はしていない)。また、データベースの場合、データベースの規模によっては、「バックアップ終了前に差分領域を超えた書き込みが発生する可能性がある」。スナップショット目的でLVMを利用する場合には、余裕のあるVGを確保しておき、十分に大きな差分領域を確保するよう作業を意識しなければならない。
LVMに次ぐ「LVM2」が進行中
実は「LVM」という技術は、商用UNIXでは以前から用意されていた機能である。ディスクを管理する上でLinuxにも求められていたものなのだ。現在リリースされているLVM機能も十分に利用可能であるが、それでもまだいくつかの点で求められる部分がある。その中でも特に強調されているのが、マウントしたままでLVリサイズを実現する機能だ。
ファイルシステムの1つ「ReiserFS」は、現在でもオンラインのリサイズが可能であり、IRIXで先行されていたSGIのファイルシステム「XFS」でも可能だ。しかし、Linux標準で利用されているext2、ext3では、本格的なサポートが表明されていない(LVMパッケージにはパッチが用意されており、適用することでカーネルサポートを加えることは可能だ)。このように考えていくと、実はext3のスナップショット作成も標準ではない。ジャーナルファイルの都合でエラーになるが、パッチが用意されているディストリビューション標準カーネルでは、適用済みとなっている可能性もある。
また、LVに利用できるPE数も障害であり、より大規模なLVを作るためには制限緩和が求められる。
このような数々の問題に対処したものとして、現在整備が進められているのが、「LVM2」規格だ。Linux 2.6(もしくは3.0)カーネルでLVMの置換として用意される予定だ。LVM2では、現在のLVMボリューム変換も可能なため、いまのうちにLVMに親しんでおくのがおすすめだ。今後のバージョンアップでより本格的に使うことを目指そう。
関連記事特集:LVMによるディスクパーティションの動的化(前編)
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エンタープライズ Linux
[佐藤大輔,ITmedia]
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