エンタープライズ:ニュース 2003/09/28 18:41:00 更新


Teradata Warehouse 7.1は次世代版に期待を抱かせるのか? (1/2)

9月22日から25日の4日間、シアトルでNCR Teradataの「PARTNERS 2003」が開催された。ユーザー主導のカンファレンスのため、マーケティングメッセージこそ少なかったが、プレス関係者には別メニューが用意され、幾つかの発表も行われている。

 9月下旬、NCRのTeradata部門は、「PARTNERS 2003」で幾つかの発表を行った。その中で、最も重要なものは、マイナーアップグレード版の「Teradata Warehouse 7.1」だ。

 新バージョンの核となるTeradata Database V2R5.1の新機能は、大きく2つある。UDFs(User Defined Functions)とラージオブジェクトだ。これらに関しては、別の記事に掲載されているが、ここで改めてその価値について述べたい。

 V2R5.1は、UDFsの実装によって、C言語で作ってコンパイルしたプログラムを、SQL文によって呼び出せるようになった。初歩的な使い方としては、XMLデータや漢字コードを自動変換し、データウェアハウスに取り込んだり、そこから書き出したりできる。一方のラージオブジェクトは、ドキュメントファイルやイメージ/ビデオデータなどをそのままデータウェアハウスに格納できるようにする機能だ。

 これまでのバージョンでは、データウェアハウス内にあるデータは、すべてリレーショナルデータとして格納されていた。しかし、新バージョンでは、「リレーショナルでない」データも蓄積できるようになる。このため、データウェアハウス内にあるラージオブジェクトをほかのデータと関連づけて再活用したいときに、UDFsが役に立つ。さらに、UDFsはSQL文の中に軽い分析エンジンを取り込むといった使い方ができるほか、やりようによっては、新しいOLAP機能を作って定義することも可能になる。

 ただ、これだけだと企業がビジネスに生かすというよりも、技術者のハートをつかむ機能という色彩が強い。例えば、プレスリリースに書かれている「イメージデータでクレジットカードのサインを格納しておき、不正を防止する」使い方は、既に多くの小売り店に行き渡った端末すべてのリプレースが必要になるなど、今すぐ手をつけられる領域ではない。もう一つ、製造業者のエンジニアリングチームが設計書を共有するという例も示されているが、ここでITを使いたければ別のITソリューションの方が安く上がる。

次期「V2R6.0」のUDT機能が本命

 つまり、現状は過渡期なのだ。本来の威力が発揮されるのは、2004年末にリリースが予定されているV2R6.0に新規搭載される予定のUDT(ユーザー定義型)機能にある。これは、データウェアハウスに格納するデータのデータ型を自在に定義するための機能。UDTが搭載されると、さまざまなビジネスアプリケーションからデータをスムーズに取り込めるようになる。

 例えば、SAPアプリケーションにはBWと呼ばれるデータウェアハウス製品があり、Teradataの入り込みにくい領域だった。しかし、この新機能によって、Teradataは巨大なSAP市場もターゲットに加えられるかもしれない。また、データウェアハウスでも競合するオラクルのアプリケーションがフレックスフィールドを使って蓄積したデータも、V2R6.0のデータ型をUDTによって設定し直すことで、容易に取り込めるようになるはずだ。

 このように、V2R6.0になると、複数のドキュメントデータに加え、ビジネスアプリケーションのデータも取り込んだ、本格的なエンタープライズデータウェアハウスの実現が期待できる。では、エンタープライズデータウェアハウスを構築し、企業の保有するあらゆる電子データを一元化する意味はどこにあるのだろうか。

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[井津元由比古,ITmedia]