| エンタープライズ:ニュース | 2003/09/28 18:41:00 更新 |

Teradata Warehouse 7.1は次世代版に期待を抱かせるのか? (2/2)
一般に、データウェアハウスに蓄積されたデータは、分析対象ごとに一旦データマートに書き出し、そこでキューブ化してマイニングされる。これに対して、NCRはTeradata Warehouse Minerソフトウェアを提供。「市場にある製品の中で唯一の“イン・データベース”データマイニングツール」と胸を張る。
つまり、データを抽出してキューブを作らなくても、データウェアハウス内のデータに対して、そのままマイニングをかけられるわけだ。データの抽出、クレンジング、書き込み、キューブ化、マイニングという一連のプロセスでは、70%を超える時間がマイニング以前に使われると言われている。同社では、「Teradata Warehouse Minerを使ってもデータウェアハウスのパフォーマンスへの影響は微々たるもの」としており、もしそれが本当なら、70%以上の時間をそのまま削減できる。データウェアハウス環境に直接アクセスしてデータ分析することは、例えばGartnerが定義する「リアルタイム・エンタープライズ」への近道となる。
Oracleからのリプレースが強さを実証
今後Teradataは、ほかのビジネスアプリケーションベンダーらとは違う形で企業がリアルタイム・エンタープライズを実現していくのを支援していくことになる。NCR Teradata部門でマーケティング担当副社長を務めるビッキー・ファレル氏は、「製品の機能そのものに加えて、トータルな導入・運用コスト、顧客へのコミットメント、多くのユーザー事例、そしてコンサルティング実績という5つでライバルと差別化する」と話す。極めてオーソドックスな見解だ。
データウェアハウス製品を提供するベンダーは、同一の方向性を持っている。ビジネスアプリケーションベンダーであるSAPのBWにしても、オラクルにしてもそうだ。ラージオブジェクトは、コンテント管理機能を統合することでまかない、あらゆるデータを一つのデータウェアハウスに取り込もうとしている。
ファレル氏によれば、ハイエンド市場だけをターゲットとする関係上、現時点ではOracleおよびIBMだけが競合相手になっているという。中でも最大の敵はオラクルだが、2000年4月に開始したOracleからTeradataへのリプレースプログラムによって、多くのユーザーがリプレースしてくれたという。
「Oracle 10g? オラクルの製品が最もうまく稼動するシステムプラットフォームは、パワーポイントのスライドとプロジェクター」とファレル氏。
スライドとプロジェクターは、あらゆるシステムにとって“最適な稼働環境”であり、Teradata Warehouseもその例外ではない。それでもTeradataがOracleに噛みつけるのは、豊富な成功事例という後ろ盾があるからだろう。
今回のカンファレンスでは、目に見える機能としての差別化要素をつかむことはできなかったが、少なくとも、多くの幸せそうなユーザーが集い、非常に奥の深い「Enterprise Data Warehouse Roadmap」が発表された。現時点では、この分野でTeradataのアドバンテージは十分にあると言えそうだ。
ただ、今後は分からない。アプリケーションの歴史を見ると、主要なビジネスアプリケーションベンダーは、必ず周辺ソリューションを駆逐しようとする。CRMのシーベルも、SCMのi2テクノロジーズやマニュジスティックスも、以前ほど輝いてはいない。当然、データウェアハウス分野も同様の流れになる可能性はある。
さらに魅力的なビジネス課題解決型のソリューションを提案するか、もしくは大容量かつスケーラブル環境に特化していくのか。今後は、Teradataの企業としての戦略が問われることになるだろう。
なお、このカンファレンスの詳細は、「月刊コンピュートピア」でも採り上げたい。
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